静岡県浜松市にある村松篤設計事務所の所長のブログです


by mura-toku
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 ❝ 浜松・夢双庵 ❞ の工事が終盤に入ってきました。

 大工工事がほぼ完了し、各職方による仕上げが進められています。

 まずは、そのワンカットをご紹介!


 
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 2階のリビングからインナーバルコニーを見たところです。
 正面から右側へと直角に折れる窓の建具は全て壁の中に引き込まれることにより、空間が内と
 外を完全に一体化することができました。
 正面奥のインナーバルコニーは、より屋外へと誘う仕掛けとして設けています。
 壁と天井は生成り色の砂漆喰塗り。吹抜空間を明るく広く見えるように考え、選択しました。



 
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 先ほどのリビングに隣接する和室です。
 床には畳が敷かれ、正面左側には押入用の戸襖と正面の窓には障子戸が入る予定です。
 壁はリビングと同じ砂漆喰塗りですが、注目していただきたいのは天井の仕上材。
 薩摩葦を全面に貼り、埋込照明をスリット状に設けてみました。
 最近あまり見られなくなった材料ですが、直線や平面で構成される空間を優しくそして柔らかく
 包み込むような印象を与えてくれています。
 自然光が天井に当たってもそのほとんどを吸収してしまう、魅力的な仕上げと言えるでしょう。



 
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 上の写真は薩摩葦(左から2つめ)をはじめ、他にも使用される和風の面材を見たところです。
 色合いや風合いを吟味した結果、今回は薩摩葦を採用しました。
 下の写真は、その材を拡大したものです。
 よく見ると、色や太さに違いがあるのがお分かりでしょうか。
 それでも遠目で見て水平ラインが保てるよう、職人は材を1本づつ見極めながら選別し、慎重に
 畳1帖大の大きさの面材をつくるのですから、これぞ職人ならではの仕事なのでしょうね。

 和室を設けない家が多くなったと、よく耳にします。
 限られた条件の中では仕方がないことなのかもしれませんが、少し寂しい気持ちになります。
 それは、季節の行事や親戚縁者の宿泊に使用しなくなったから必要ないのかもしれません。
 ただ、日常の暮らしにおいて、ごろっと横になったり、子供と遊んだり、洗濯物をたたんだり、
 冬には炬燵を出して鍋を囲んだり等々、わずかなスペースでもあって欲しいものだと思います。
 そこには、椅子やソファではなく、床に座ることの安心感=視線を下げる場が生まれます。
 床座で得られる限りない魅力を考え直してみるのも、大切なのではないでしょうか。


 

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by mura-toku | 2018-06-04 15:00 | 建築 | Comments(0)

 ❝ 浜松・夢双庵 ❞ の玄関が形になってきました。



 
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 玄関入口から見た感じです。
 手前の天井は低く抑え、奥の天井を上げてみました。
 グレーの穴開きボードの面は砂漆喰塗りになりますので、明るい仕上がりになります。
 つまり、天井の低い部分は壁と同化するため存在感がなくなり、奥の天井に視線が運ばれるよう
 考えました。そこで、まずは奥の天井を見てみましょう。



 
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 天井板は屋久杉の無垢板、それに取り合う細い木材は吉野杉の赤柾材です。
 最近の住宅ではほとんど見られなくなりましたが、無垢の天井板を貼ってみました。
 うっすらとラインが入っていることと、板と板が重なっているところが無垢の証です。
 写真では判別が付きませんが、とてもいい仕事をしてもらいました。
 なかなか実物をご覧いただける機会が少ないので、完成時にご覧いただきたいと思います。



 
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 靴を脱いで最初に足で踏む材(式台)は、栗を選択しました。
 建主の要望を踏まえながら、材のバランスを見て、小ぶりのナグリを施しています。
 これは塗装前の状態ですが、こちらもいい感じに仕上がりました。
 足に触れた瞬間、心地良さが伝わり、視線の先には屋久杉の天井が広がります。



 
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 もうひとつの注目点は、先ほどの式台と同じ栗材を下足入れの天板に使用していることです。
 流れるようなひとつながりの木目模様は、一目見て無垢であることが分かります。
 最初の玄関全景カットで、左側に写っている腰高のカウンターがこの材です。
 左奥の窓の手前に障子戸を入れ込むため、天板に溝を掘り込みました。


 今回は玄関を紹介しましたが、土足から床へ上がる高さの変化や、限られたスペースゆえの間近で
 見られることに耐えられる設計をしなければなりません。
 それには計算された空間設計はもちろんのこと、使用する材まで気を配りたいものです。
 そして、その選択はひとつの材(今回は栗のナグリ)によるところが大きいと言えます。

 様々な人が出入りする玄関は、設計者にとって最も緊張する場であり、材を見て欲しい場でもある
 ことを付け加えておきたいと思います。国産の栗と屋久杉、吉野杉の選択。必見の価値ありです!



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by mura-toku | 2018-03-28 17:38 | 建築 | Comments(0)