静岡県浜松市にある村松篤設計事務所の所長のブログです


by mura-toku
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 前回に引き続き ❝ 京都・侘楽庵 ❞ を通して、「繋ぐ」ことを考えてみたいと思います。


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 玄関から室内へ入ったすぐのところに、手洗いコーナーを設けました。
 よく、子どものために帰宅直後の手洗いを希望されるケースが多いのですが、最近は風邪対策用
 としてのリクエストも増えてきています。インフルエンザの流行も起因しているのでしょうか?
 写真の左側は2階へ上がる階段が見えます。この関係性を把握しておいて下さい。


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 先ほど見えていた階段の左脇にWCを設置しました。
 WC内で簡易の手洗いは可能ですが、念入りにされたい時は外の手洗いが良いでしょうね。
 WC内の右上の窓(硝子嵌めこみ)は階段正面窓からの自然光を導くためのもので、WCの壁が
 外に面していない場合には有効に働いてくれます。
 人工照明で明るさは保てますが、外の気配を感じ取ることも忘れてはなりません。


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 階段を折り返す踊り場に、大きな窓を設けました。
 その理由は、北側からの自然光(間接光)を導くためですが、写真を見てもお分かりのように、
 道路を隔てた正面の植栽(隣家の庭)を取り入れたいためでもあります。
 階段は上下階を繋ぐ重要な装置ですが、このように外と内を繋ぐ役割も考えたいものです。


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 上の2枚の写真は、2階のWCを写したものです。
 1階と同じように、外側に面した窓をあえて設けていません。
 右側に見える木の窓は階段との間仕切り壁に設けたもので、こちらを選択しました。
 正面に窓を設けてしまうと気恥ずかしく思えるものですが、視線を少し斜めに振ることで、外の
 景色を気兼ねなく拝借することが出来、何だか得した気分になりますね。


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 2階寝室の障子戸とスクリーンの開閉を写したものです。
 上が就寝時、下は起床時といったイメージでしょうか。
 正面の窓の向うにはバルコニーがあり、洗濯物や布団を干すことが可能になっています。
 右手の障子戸はリビングの吹抜と繋がっていて、開けた状態でも木格子の手摺を設けているので、
 夏の暑いシーズンには安心して休むことが出来ます。
 
 このように、限られた空間の中で「繋ぐ」ことを意識して設計に取り組むことは、かなり重要な
 ウェイトを占めるのではないでしょうか。
 内と外、場と場、上と下といった視覚的な仕掛けはもちろん、自然や人間との関係性をも考えて
 設計に向き合うことの大切さを問うていきたいと思います。



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# by mura-toku | 2018-02-02 10:39 | 建築 | Comments(0)

 前回の続きをご紹介します。


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 左手の擦り硝子入り建具の向う側が玄関、右手の畳の間が前回ご紹介した和室になります。
 訪問者が一番最初に体感されるのは、この吹抜空間で、高窓から自然光が降り注ぎます。
 正面に見える木格子の向う側は手洗いがあり、帰宅後すぐに利用することが可能です。


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 先ほどの写真の左側を見たカットです。
 正面奥に見えるのがキッチン、目線の高さで仕切っている壁の向う側がダイニングになります。
 暮らし方にもよりますが、手前のリビングと空間は繋げたいが落ち着いて食事をされたい場合は、
 このように適度に仕切ったほうが良いのかもしれません。

 
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 目線の高さで仕切った壁の裏側、即ちダイニングからの見え方はこうなります。
 食卓テーブルがセットされる前なので何とも締まらないカットですが、天井から吊り下がっている
 照明器具の真下にセッティングされる予定です。
 手前の天井をさほど高くしないことで、奥の吹抜空間をより高く広く感じることを心掛けました。


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 ダイニングからリビングを抜けて、一番奥の畳敷き小間を見ているカットです。
 入口の建具は省略していますが、手前の白い壁を大きく設けているため、中の様子が丸見えに
 ならないよう工夫しました。3畳ほどの広さですが、かえって落ち着いて居られる空間です。
 正面右手上部に見える木製手摺の向う側は寝室で、階下のリビングの様子がよく分かります。


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 リビングの吹抜空間を見上げると、高窓から光が入ってきます。
 隣家とのプライバシーは内障子で守りながら、明るさを保つ有効な方法です。
 このように吹抜は、設計の工夫により効果が得られますが、場合によっては空間が狭く感じたり、
 寒く感じたりするケースもありますので、細心の注意が必要になります。

 次回は、この続きをご紹介しましょう!



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# by mura-toku | 2018-01-22 16:45 | 建築 | Comments(0)
 しばらく、ブログの更新をする間もなく、毎日仕事に追われる日々を送っていました。
 HPの作品集で紹介しているように、ここ数年は事務所やこども園の設計を手掛けていました。
 これらの仕事の多くは補助金を受ける関係から、スケジュール厳守で進めなければなりません。
 読者の中には楽しみにされていた方もいらっしゃるかと思いますが、ようやく落ち着いて書く
 環境が整ってきましたので、今日から少しづつ遅れを取り戻していきたいと考えています。
 どうぞよろしくお願いします。

 というわけで、前回の続き ❝京都・侘楽庵❞ の完成写真をご紹介いたしましょう。

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 西側の外観を見上げたカットです。京都ならではの条例で色の規制(単色だけではなく、ツートンの
 ケースでは色のコントラストも規制あり)を守りながら、配色を決めました。
 街並みに溶け込む土壁風の仕上りになっています。

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 道路に面した全景です。私が訪問した2015年の4月は、ちょうど外構と植栽の工事中でした。
 先ほど紹介しました京都の条例で、もうひとつデザイン上の制約があるのは、必ず下屋(1階
 から2階まで外壁をのっぺりと続けるのはNGで、1階部分に付ける屋根あるいは庇のこと)を
 設けなければならないことにあります。これには、正直苦労しました。

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 建主の奥様がお茶をされていることから、設計に組み込んだ8畳の茶室。畳の一部に炉を切り、
 天井には釣釜用の金具を設置しました。あえて柱を見せず、塗り壁を連続させることでシンプル
 なデザインを心掛けています。

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 正面の障子を開けると、庭の緑が目に飛び込んできます。
 といっても、これはお向かいの庭を借景としていただいたもの。
 初めて敷地を見に行った時に記憶にとどめ、設計に活かすことを常に考えています。


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 前回のブログで紹介した「椿の曲り」の床柱が、このように納まりました。直線で構成された部屋の
 一部に自然なラインが入るだけで、空間が和らぎます。床の間の壁は聚楽塗で、空間を引き締める
 ことを考えました。間接照明が陰翳をつくり出し、部屋に奥行きを与えてくれています。

 今回の紹介はここまで。次回は、この続きをお約束します。
 これからも、よろしくお付き合いください!



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# by mura-toku | 2018-01-12 11:34 | 建築 | Comments(0)

 "京都・侘楽庵" の茶室に用いる床柱選定のために訪れた老舗銘木店。

 工事に携わっている工務店社長の紹介ではあるが、恐る恐る店先へ。

 
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 如何にも老舗といった構えに一同、緊張感が漂う。

 建主ご家族と工務店社長を含め、皆の顔が引きつっているのがよく分かる。

 それもそのはず、この世界は一流寿司店に行って好みのものを注文し、後で

 お勘定という流れにやや似たものがあるからだ。

 店主に図面を見せ、設計意図を説明してから見繕っていただいたものがこちら。




 
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 一目見て、やはり老舗の店主は違う!

 樹種の豊富さはさることながら、こちらの意図を汲み取った選定には脱帽である。

 この段階で何がいいか、皆さんの意見を伺おうと思っていたのだが、まずは私の

 考えを聞きたいという。

 「私はもう決まっています。これしかありません。」 と述べた後、指をさした。




 
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 そうしたら間髪入れずに建主の奥様が、「私もそれが良い!」 と。

 息が合うというか、好みが一緒というのは何とも気持ちが良い。

 一応、数本の候補を絞っていき、最終的に "椿の曲り" に決定した。

  この柱は、私が当初描いていたものに一番近いものだったのだが、恐らく店主は私たち

 (というか私の眼力) を試したかったのだろうと、想像してしまった。

 (ちなみに、予想に反して大変お買い得な品物だった)




 久しぶりの真剣勝負に、心地いい疲労を感じた。

 今の時代に、こんな幸せな仕事をさせていただいた建主並びに工務店には、ただただ

 感謝の気持ちを申し上げたい。

 無味乾燥な社会だからこそ、直接顔を合わせて物を見る大切さを改めて学んだ気がする。

 次回は、完成の姿を紹介したいと思う。



 
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# by mura-toku | 2015-04-27 10:51 | 建築 | Comments(2)

 先日、工事中の現場 “京都・侘楽庵” へ行ってきました。

 雪が時折ちらつき、現場は相当冷え切っていましたが、そんな中でも工事は

 着々と進んでいて一安心。

 家の骨格が現場シート越しに現れている姿を見て、さらに安心しました。




 
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 京都は、あらゆる地域で条例が定められていて、屋根の角度や寸法・外装材の

 仕上げや色合い等々を守らなければ許可が下りません。

 今回は、そうした決まりをクリアしながら美しく表現できるかが課題でした。




 
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 1階の畳の間 (8畳の茶室) の進捗状況です。
 
 断熱材が壁・天井に充填され、構造上必要な耐力壁として合板が張られていました。

 左側の窓に向かって緩やかにカーブを描く天井ラインの正確な位置を決めるのも、

 監理者として大切な仕事のひとつ!

 図面と照合しながら、現場の板材を 「こんな感じで曲げて」 と指示を出しました。




 
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 これは、2階の畳の間 (4畳半の寝室) の状況です。

 傘を広げた感じに見えることから、傘天井といいます。

 中央に向かって天井が高くなることで、通常の部屋よりも広く感じられました。

 これからの仕上がりが、とても楽しみです!




 今春の完成に向けて、現場は動いています。

 次回は、この家にも納入される銘木 (床柱などの特別な建築材) について、

 ご紹介いたしましょう!
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# by mura-toku | 2015-03-09 17:10 | 建築 | Comments(2)