静岡県浜松市にある村松篤設計事務所の所長のブログです


by mura-toku
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

 昨年竣工した ❝ 掛川市森林組合新事務所 ❞ が、ウッドデザイン賞2017を受賞しました!


 
b0111173_15421684.jpg



 この賞は、木材・木製品を利用する消費者が木の良さや価値を再発見できる製品・取組を顕彰し、
 森林・林業の活性化や木のある豊かな暮らしの実現を図る取組として、2015年度から始まりました。
 3年目となる今年度は、全国から453点の応募があり、このうち建築物は64点が選ばれました。
 私たちが受賞した部門は、ソーシャルデザイン部門(木を使って地域や社会を活性化しているもの)
 で、建築・空間・建材・部材分野(審査員分野長は建築家の隈研吾氏)になります。



 
b0111173_15582643.jpg


 こちらは、昨年の12月に東京ビッグサイトで開催された「エコプロ2017」で、ウッドデザイン賞受賞
 作品が展示されたときの紹介パネルです。
 審査委員会からは「地域産の木材を美しく、無垢材による安心感をもたらす場所としてデザインされた
 良質なオフィス空間。執務のしやすさに留まらず、新たな木材利用の見える化を表現した情報発信拠点
 としても有効である。」と、評価のポイントが寄せられていました。



 
b0111173_16074007.jpg
 

 新事務所の全景を眺めた写真です。
 木造2階建てで、手前側には木の骨組みを表し、無垢材利用を意識したデザインとしています。
 右に向かって屋根がせり上がり、躍動感のあるダイナミックな外観に仕上がりました。
 ここを通りがかった人からは「何だ、これ?」と、思わず見てしまう建築になっているようです。



 
b0111173_16191260.jpg


 入口を入ると、手前の土間空間から事務室が繋がるようになっています。
 先ほどの外観写真で紹介した木の骨組みが、規則的に連続しているのがよく分かります。
 この骨組みで使用している木材は杉の無垢材で、全て地域産にこだわりました。
 また、この骨組みの間に見えている板張りのような面は、実は厚さが12cmもある杉の無垢パネル
 で、構造材・断熱材・仕上材を兼ねたものとしてチャレンジしています。



 
b0111173_16392115.jpg



 賞状授与のご褒美として撮影していただきました。
 これにおごらず、今後はさらなる上を目指して精進していきます!


 


[PR]
# by mura-toku | 2018-02-08 16:43 | 建築 | Comments(0)

 前回に引き続き、❝ 浜松・夢双庵 ❞ で実践していることを紹介しましょう。


 
b0111173_16432483.jpg


 アプローチ側から外観を見上げたところです。
 大屋根の下方に板を張っている部分が分かるでしょうか。
 何も考えなければ、その下の外壁仕上(現状は下地段階ですが白地に縦の木を張っている部分)
 をそのまま上まで繋げてしまうところですが、そうしませんでした。何故でしょうか?
 この家の一番の顔(アプローチ正面に見える)になるボリュームがかなり大きく、間延びする
 というか、締まらない表情になってしまうからです。
 ちなみに下の仕上は漆喰塗りですので、これと対比する質感のある仕上が求められました。
 いくつか候補は挙がりましたが、最終的には耐久性も考慮した結果、杉赤柾板を選択しています。

 
b0111173_17020623.jpg
 

 先ほどの写真の左側を回り込むと、南面が見えます。
 屋根も耐久性を考えている箇所があるのですが、ここでは正面右側に注目してください。
 左側に比べると外壁が少し後退していて、ちょっとした屋外空間をつくっています。


 
b0111173_17081913.jpg
 


 2階の屋内から外(南方向)を見ると、こんな景色が広がります。
 ここはリビングになるところですが、正面から右手にクランクしてL字型のフルオープン建具
 が嵌り、屋内外が一体になる空間を考えました。
 左側奥に細いシルバーカラーの柱が立っているエリアが屋外になり、インナーバルコニーなど
 と呼ばれたりしています。では何故、こんなことをしているのでしょうか?
 答えは簡単、風雨の影響を極力受けにくい半屋外を設ければ、かなりの頻度でこのスペースを
 活用でき、建具をフルオープンにするメリットが生まれるからです。


 
b0111173_17212085.jpg

 今度は先ほどの写真の右奥に回って、くるっと90度見返したところです。
 このインナーバルコニーは、屋根の下なのでさほど雨に濡れませんが、それでも台風など横殴り
 の雨に当たり続ければ、いずれ消耗していくことが考えられます。
 そこで耐久性の視点から、この部分だけをスチールで組むことにしました。
 全てのスチール材は亜鉛メッキ処理とし、構造木材とは縁を切って納めています。
 これに取り付くスノコや手摺は木製ですが、こちらも耐久性の高い材を選択し、メンテナンス
 費用の低減を提案しました。

 通常は、バルコニーの床を防水仕上にしてしまうことが多いかと思います。
 しかし本来であれば、外界の風をスノコ床の隙間から室内へと呼び込むことで通風量が増え、
 より快適に過ごすことが出来るのを、知らされていないのではないでしょうか?
 クライアントの要望に対し、あらゆるケースを想定しながら複数のメニューを提示できる者が
 プロフェッショナルと言えるのだと思います。


 

[PR]
# by mura-toku | 2018-02-07 17:52 | 建築 | Comments(0)

 今回は、昨年の夏頃から工事が始まっていた ❝ 浜松・夢双庵 ❞ をご紹介しましょう。


b0111173_17080155.jpg


 上棟時の様子を写したものです。木材を上げるためのレッカーのアームが見えていますね。
 旗竿状の敷地で、進入路を登った高台の土地に、ガレージ付きの2階建て住宅を計画しました。
 鳥が羽根を広げながら訪問客を迎え入れる姿を、大屋根で表現しています。


b0111173_17185501.jpg


 上棟後、2か月経過したところです。
 上棟時とほぼ同じ位置から撮ったものですが、敷地の形状がよく分かります。
 登り切った正面(白い車の奥)には2台分のビルトインガレージを設置し、深い庇を掛けました。
 雁行型PLANに合わせた大屋根も、家を風雨から守るために屋根の出を大きくしています。


b0111173_17395191.jpg

 ビルトインガレージ(ブルーシートの右奥)の手前に架けられた深い庇です。
 正面奥から手前に向かって庇の出を大きくしていて、包まれるような安心感を覚えます。
 この庇を構成している木材はそのまま仕上を兼ねていますが、耐久性を考慮して赤身材
 (丸太の芯に近い部分で腐朽しにくい)の無節で揃えてみました。
 美しさと長持ちを兼ね備えたデザインは簡単ではありませんが、理想的な形と言えるでしょう。

 通常よりも長い時間を掛けて、職人たちがコツコツと仕事を進めています。
 それは、かつて日本の家が皆そうであったように、材を吟味し、美しく、上部で長持ちする
 性能の高いものを求めていたからではないでしょうか。
 現代の暮らしに適応しつつ、住まい手の好みに合ったデザインの家を実現させるには、
 それ相応の時間が必要です。
 時間を要する背景には何が潜んでいるのか?これから紐解いていきたいと思います。


 

[PR]
# by mura-toku | 2018-02-06 18:11 | 建築 | Comments(0)
 前回に引き続き ❝ 京都・侘楽庵 ❞ を通して、「繋ぐ」ことを考えてみたいと思います。


b0111173_09261599.jpg
 
 
 玄関から室内へ入ったすぐのところに、手洗いコーナーを設けました。
 よく、子どものために帰宅直後の手洗いを希望されるケースが多いのですが、最近は風邪対策用
 としてのリクエストも増えてきています。インフルエンザの流行も起因しているのでしょうか?
 写真の左側は2階へ上がる階段が見えます。この関係性を把握しておいて下さい。


b0111173_09420939.jpg

 
 先ほど見えていた階段の左脇にWCを設置しました。
 WC内で簡易の手洗いは可能ですが、念入りにされたい時は外の手洗いが良いでしょうね。
 WC内の右上の窓(硝子嵌めこみ)は階段正面窓からの自然光を導くためのもので、WCの壁が
 外に面していない場合には有効に働いてくれます。
 人工照明で明るさは保てますが、外の気配を感じ取ることも忘れてはなりません。


b0111173_09521387.jpg

 
 階段を折り返す踊り場に、大きな窓を設けました。
 その理由は、北側からの自然光(間接光)を導くためですが、写真を見てもお分かりのように、
 道路を隔てた正面の植栽(隣家の庭)を取り入れたいためでもあります。
 階段は上下階を繋ぐ重要な装置ですが、このように外と内を繋ぐ役割も考えたいものです。


b0111173_10101162.jpg

b0111173_10102867.jpg


 上の2枚の写真は、2階のWCを写したものです。
 1階と同じように、外側に面した窓をあえて設けていません。
 右側に見える木の窓は階段との間仕切り壁に設けたもので、こちらを選択しました。
 正面に窓を設けてしまうと気恥ずかしく思えるものですが、視線を少し斜めに振ることで、外の
 景色を気兼ねなく拝借することが出来、何だか得した気分になりますね。


b0111173_10185943.jpg

b0111173_10191422.jpg


 2階寝室の障子戸とスクリーンの開閉を写したものです。
 上が就寝時、下は起床時といったイメージでしょうか。
 正面の窓の向うにはバルコニーがあり、洗濯物や布団を干すことが可能になっています。
 右手の障子戸はリビングの吹抜と繋がっていて、開けた状態でも木格子の手摺を設けているので、
 夏の暑いシーズンには安心して休むことが出来ます。
 
 このように、限られた空間の中で「繋ぐ」ことを意識して設計に取り組むことは、かなり重要な
 ウェイトを占めるのではないでしょうか。
 内と外、場と場、上と下といった視覚的な仕掛けはもちろん、自然や人間との関係性をも考えて
 設計に向き合うことの大切さを問うていきたいと思います。



[PR]
# by mura-toku | 2018-02-02 10:39 | 建築 | Comments(0)

 前回の続きをご紹介します。


b0111173_16003743.jpg

 左手の擦り硝子入り建具の向う側が玄関、右手の畳の間が前回ご紹介した和室になります。
 訪問者が一番最初に体感されるのは、この吹抜空間で、高窓から自然光が降り注ぎます。
 正面に見える木格子の向う側は手洗いがあり、帰宅後すぐに利用することが可能です。


b0111173_16121789.jpg

 先ほどの写真の左側を見たカットです。
 正面奥に見えるのがキッチン、目線の高さで仕切っている壁の向う側がダイニングになります。
 暮らし方にもよりますが、手前のリビングと空間は繋げたいが落ち着いて食事をされたい場合は、
 このように適度に仕切ったほうが良いのかもしれません。

 
b0111173_16200173.jpg

 目線の高さで仕切った壁の裏側、即ちダイニングからの見え方はこうなります。
 食卓テーブルがセットされる前なので何とも締まらないカットですが、天井から吊り下がっている
 照明器具の真下にセッティングされる予定です。
 手前の天井をさほど高くしないことで、奥の吹抜空間をより高く広く感じることを心掛けました。


b0111173_16273233.jpg

 ダイニングからリビングを抜けて、一番奥の畳敷き小間を見ているカットです。
 入口の建具は省略していますが、手前の白い壁を大きく設けているため、中の様子が丸見えに
 ならないよう工夫しました。3畳ほどの広さですが、かえって落ち着いて居られる空間です。
 正面右手上部に見える木製手摺の向う側は寝室で、階下のリビングの様子がよく分かります。


b0111173_16350333.jpg

 リビングの吹抜空間を見上げると、高窓から光が入ってきます。
 隣家とのプライバシーは内障子で守りながら、明るさを保つ有効な方法です。
 このように吹抜は、設計の工夫により効果が得られますが、場合によっては空間が狭く感じたり、
 寒く感じたりするケースもありますので、細心の注意が必要になります。

 次回は、この続きをご紹介しましょう!



[PR]
# by mura-toku | 2018-01-22 16:45 | 建築 | Comments(0)