" IWATA・SLOW HOUSE " の現場が、最終仕上げ段階に入っています。
外部足場が外れ、屋内の左官工事がほぼ完了したため、屋内外の工事が同時に進行していました。
敷地の東側から眺めた遠景です。
一目瞭然なのは、他の家に比べて高さが低く抑えられていることです。
こうすることで家のプロポーションが良くなり、周辺に対して威圧感を与えないことになります。
また家のボリュームが小さくなるので、その分外壁面積が少なくなりコストダウンにも繋がります。
もっと大事なことは、写真を見てもお分かりのように、南側に新居が建っても北側の家(右の家)
に冬でも太陽の光が十分に届くことになり、お隣さんとの関係が良好に保たれることになる訳です。
昨今の住宅では、建具屋さんが襖や障子を工場でつくって現場に吊り込む(枠の形状や大きさに
合わせて隙間なく嵌め込むこと)ことが、本当に少なくなりました。
工事期間の短縮と省力化が重視され、建具と木枠がセットになった大手メーカー製造の既製品を
導入する現場が大半という時代にまでなってしまいました。
それにより職人の腕は低下し、結果、後継者が育たない問題になってきています。
何より、設計者が何も考えず、メーカーのデザインをただ受け入れることも大問題です。
毎日そこで暮らしながら、季節の変化に伴い木が動く(無垢の木は建てた後も呼吸するため収縮
がおきます)ことや、木の建具に触れた時の暖かさや柔らかさを感じることが、子供たちの将来
にとって大事な情操教育を養う場であることを問いたいと思います。
階段を上がり、2階からリビングの吹抜を眺めたところです。
家を支える無垢の木の柱と梁、思わず触りたくなる曲面加工の手摺、穴から覗きながら鬼ごっこ
を楽しむことが出来る紺色の手摺壁等々、これが暮らしをデザインするということです。
ただ、既製品を寄せ集めただけでは、決して豊かな空間は生まれません。
写真では分かりにくいのですが、この吹抜はかなり高さを抑えています。
一番の理由は、吹抜の広さに合わせて天井の高さを計算し、適度なボリュームに調整することで
上下階が一体になるように考えているからです。(その方が家族の距離も縮まりますからね)
それには仕上材の選択も重要で、壁と天井を漆喰にして明るい空間になれば、天井の高さは
さほど気にならないものです。
これらのことは体感しなければ理解できないことなのですが、狭い広い・高い低い・明るい暗い
といった空間にメリハリをつけることが家を豊かにしてくれることを、付け加えておきます。
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by mura-toku
| 2018-11-26 18:38
| 建築