静岡県浜松市にある村松篤設計事務所の所長のブログです


by mura-toku
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カテゴリ:建築( 235 )


 " IWATA・SLOW HOUSE " が先日完成し、建主へ引渡しを行いました。



 
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 本来なら、外構・植栽工事まで終えて引渡しが出来れば良かったのですが、諸般の事情により

 引越し後に行うことになりました。

 南正面、アプローチ側から見た外観です。

 自立した工事中の壁がありますが、これはアプローチ正面に立つコンクリート壁です。

 入口を示す目的と結界を表すものとして、設けています。



 
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 家の中心に位置する居間をキッチンから見たところです。

 正面に建つ柱は吹抜空間を支える重要なもので、家の芯にもなっています。

 床は天竜杉の無垢フローリング、壁と天井は漆喰塗り(階段の壁は杉板)の仕上にしました。



 
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 階段を上がった2階通路から居間を見下ろしたところです。

 室内へ自然光が射し込み、明るい吹抜空間に仕上がりました。

 ただ、夏の強い陽射しを遮ることを考えておかないと、室内がオーバーヒートしてしまいます。

 最近は、高性能の遮熱硝子で対応している事例が数多く見受けられますが、私は出来る限り家の

 形状で日射調整をするように考えています。

 冬は室内の奥深くまで日射を運び、夏は深い屋根や庇等で日射を遮るよう、設計段階で寸法を定め

 ておけば、何も高性能・高価格の硝子を採用しなくても対応は十分可能です。

 また、こうすることで家の表情が豊かになり、外壁や窓に当たる風雨も少なくなるので、結果家が

 長持ちすることにも繋がるように思います。

 家は建てた後の経年変化を見ていくことも重要です。

 建ててから、年を重ねる度に良い表情に変わっていく姿を見られる方が望ましいでしょう。

 人間が円熟味を増していくように、家も古美の貫禄が醸し出せるようにしていきたいものです。



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by mura-toku | 2018-12-14 11:40 | 建築 | Comments(0)

 " IWATA・SLOW HOUSE " の現場が、最終仕上げ段階に入っています。

 外部足場が外れ、屋内の左官工事がほぼ完了したため、屋内外の工事が同時に進行していました。



 
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 敷地の東側から眺めた遠景です。

 一目瞭然なのは、他の家に比べて高さが低く抑えられていることです。

 こうすることで家のプロポーションが良くなり、周辺に対して威圧感を与えないことになります。

 また家のボリュームが小さくなるので、その分外壁面積が少なくなりコストダウンにも繋がります。

 もっと大事なことは、写真を見てもお分かりのように、南側に新居が建っても北側の家(右の家)

 に冬でも太陽の光が十分に届くことになり、お隣さんとの関係が良好に保たれることになる訳です。



 
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 昨今の住宅では、建具屋さんが襖や障子を工場でつくって現場に吊り込む(枠の形状や大きさに

 合わせて隙間なく嵌め込むこと)ことが、本当に少なくなりました。

 工事期間の短縮と省力化が重視され、建具と木枠がセットになった大手メーカー製造の既製品を

 導入する現場が大半という時代にまでなってしまいました。

 それにより職人の腕は低下し、結果、後継者が育たない問題になってきています。

 何より、設計者が何も考えず、メーカーのデザインをただ受け入れることも大問題です。

 毎日そこで暮らしながら、季節の変化に伴い木が動く(無垢の木は建てた後も呼吸するため収縮

 がおきます)ことや、木の建具に触れた時の暖かさや柔らかさを感じることが、子供たちの将来

 にとって大事な情操教育を養う場であることを問いたいと思います。



 
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 階段を上がり、2階からリビングの吹抜を眺めたところです。

 家を支える無垢の木の柱と梁、思わず触りたくなる曲面加工の手摺、穴から覗きながら鬼ごっこ

 を楽しむことが出来る紺色の手摺壁等々、これが暮らしをデザインするということです。

 ただ、既製品を寄せ集めただけでは、決して豊かな空間は生まれません。

 写真では分かりにくいのですが、この吹抜はかなり高さを抑えています。

 一番の理由は、吹抜の広さに合わせて天井の高さを計算し、適度なボリュームに調整することで

 上下階が一体になるように考えているからです。(その方が家族の距離も縮まりますからね)

 それには仕上材の選択も重要で、壁と天井を漆喰にして明るい空間になれば、天井の高さは

 さほど気にならないものです。

 これらのことは体感しなければ理解できないことなのですが、狭い広い・高い低い・明るい暗い

 といった空間にメリハリをつけることが家を豊かにしてくれることを、付け加えておきます。




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by mura-toku | 2018-11-26 18:38 | 建築 | Comments(0)

 " IWATA・SLOW HOUSE " の外部足場が外れました。




 
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 南側から見た全景です。

 1階と2階の間に中間階を設けるスキップフロアーの構成を持つ家で、それが外観からも分かる

 ように向かって右側の中間階の部分を赤茶色の外壁(金属板)にしてみました。

 その他の外壁は、ベージュ色の漆喰塗りと茶色の杉板張りで仕上げています。

 外観で凹凸を設けている理由は、太陽光のコントロール(夏の陽射しを遮り、冬の陽射しを導く)

 をすることと、雨を防ぐ(小雨時には窓を開けることができ、暴風雨時は窓だけでなく外壁でも

 ガードする)こと、外壁の消耗を極力遅らせることにあります。

 中でも、杉板は最も消耗が激しいため、一番奥に張って少しでも風雨に当てないよう考えました。




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 1階のリビング北側には、雨に濡れないインナースペースを設けています。

 奥のコンクリート土間には木のスノコが貼られるので、室内から直接デッキへ出らる仕掛けです。

 通りを歩く人たちの視線を気にすることなく、開放的な気分が味わえることが出来るでしょう。

 左手の出入口はキッチンへと繋がっているため、バーベキューも楽しめるかもしれません。



 
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 リビングからの階段を上がったところです。

 正面に見える濃紺色の手摺の向こう側が、リビング上部に広がる明るい吹抜空間。

 右手奥の部屋は畳の寝室で、小窓は吹抜正面の窓の開閉と換気のために設けてみました。

 天井に見える梁は、後で紹介するロフトの床を支える重要な骨組みとなっています。



 
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 2階通路と連続しているのが、子供室です。

 床は天竜杉の無垢フローリング、壁・天井は安価なラワン合板を用い、簡素でありながら質感が

 味わえる空間になるよう、木質の内装でまとめてみました。

 正面の梯子は軽量の既製品で、右手上部のロフトに掛ければ容易にアクセスが可能となっています。



 
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 その子供室から見下ろせるのが、もうひとつの吹抜空間です。

 階下にはダイニングテーブルが置かれ、右手の窓からは木々の緑越しに朝陽が射し込みます。

 左手正面には家族専用のデスクコーナーがあり、収納量たっぷりの書棚を設けました。

 1階から、お母さんの「ご飯ですよ~」と呼ぶ声に子供たちが反応できる姿が目に浮かびます。



 
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 2階上部には家の間口いっぱいまで、収納目的のロフトを設置しました。

 床面積にカウントされない天井高さとし、採光と換気のための窓を設けています。

 家の屋根を支える木組みを見せているのは、子供たちに建築への興味を抱いてもらいたいから。

 地元にはこんな素敵な木があって、それを大工さんが丁寧に造っているのを体感するだけで、

 自然と身にしみていったらいいな、なんて思っています。



 これから様々な職方が現場へ入り、急ピッチで仕上工事が進んでいきます。

 そんな様子を今後も紹介していきますので、よろしければご覧いただきたいと思います。

 

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by mura-toku | 2018-11-20 17:13 | 建築 | Comments(0)

 静岡県磐田市内で工事中だった ❝ IWATA・SLOW HOUSE ❞ が最終仕上げに入りました。


 
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 外部足場が架かっているため全体像が見えにくいのですが、この家は1階と2階の間に中間階を

 挟むスキップフロアーという構成になっています。

 向かって右側の赤茶色の外壁の部分が中間階で、洗面・浴室・屋外バルコニーを配しました。

 暮らしの中で洗面・浴室をどこに配置しようか悩んだ末、上下階からアクセスしやすく、かつ

 洗濯物や布団が沢山干せるバルコニーを接続すれば便利だろうという結論に至ったわけです。

 もっとも、北東方向に視線が通ることが分かっていたので、気持ち良い空間になりました。



 
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 ここが、中2階に設けた浴室です。

 メーカーが勧めるフルユニットバス(浴室まるごとをビルトインするもの)ではなく、浴室の

 床・腰・浴槽がセットされたハーフユニットバスを選択しました。

 洗濯物干用の乾燥機や打たせ湯等の機能は付いていませんが、木の香りに包まれながら日頃の

 疲れを癒すため、壁と天井に無垢板を貼りました。

 我が家でも同材を使用していますが、15年経過した今でも黴は発生していません。

 入浴しながら庭の植栽を眺められるように、大きな窓を低い位置に設けました。

 一方で、プライバシーを守る目的で硝子と硝子の間にはブラインドがセットされています。


 
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 家族が集い談笑するリビングの吹抜空間を見上げたところです。

 家族の気配を感じながら暮らしたい、時代の流れに惑わされずに自分たちの好みに合った暮らしを

 ゆっくり刻んでいきたいという想いを具現化してみました。

 使用した木材のほとんどは地元の天竜材で、写真に見えている木は全て無垢材を用いています。

 壁に貼った天竜杉の板は色のコントラストが激しいですが、10年以上経過すると色の濃淡が分かり

 にくくなるのを承知の上で、仕上げてみました。

 階段の手摺兼用の壁のくり抜きは子供たちが覗くためのもので、楽しい感じになりました。



 
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 階段を見下ろしたところです。

 リビングからアクセスする階段は空間に溶け込ませたいので、軽快なデザインが好まれます。

 階段のフレームはもちろん、踏板も手摺も全て無垢材で組んでつくりました。



 
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 2階からリビングの吹抜空間を見下ろしたところです。

 南側の庭に面した位置には2か所の大きな窓を設けています。

 室内は明るく開放的で快適な空間になりますが、注意しなければならない点があります。

 それは、室内の温熱環境です。

 夏はダイレクトの日射をどうやって遮るか、冬は暖めた室内の熱を逃がさないようにするかを

 予め考えなければなりません。

 方法は様々ですが、私はいつの時代でも、住宅本体すなわち設計の工夫によってコントロール

 を図るのがベストではないかと思っています。

 

 自然による災害が猛威を奮う時代に入ってきました。

 自然エネルギーを最大限利用しながら、簡素に暮らしていくことが求めれているように思います。



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by mura-toku | 2018-11-15 11:26 | 建築 | Comments(0)

 静岡県袋井市内で工事中だった「FUKUROI・FOREST HOUSE」が完成しました。



 
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 前面道路から見上げたところです。

 人間の背丈以上の高台に建つということで、平屋建てを選択しました。



 
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 道路から進入路を登った先には、への字型の平屋建てが姿を現します。

 右手奥が2台分のガレージ、左側が住宅で、雨に濡れずに玄関へとアクセスが可能です。

 正面奥に見える森の緑が、訪問客を優しく迎え入れてくれています。



 
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 敷地の奥、すなわち南側(森は南にある)から見える全景です。

 平屋の特性を活かし、水平ラインを強調したデザインで纏めてみました。

 屋根の頂部には、太陽熱利用のソーラーシステムが搭載されています。



 
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 森を望みながらアクティブに暮らしを楽しむため、大きなインナーデッキを設けました。

 窓から屋根の先端まで約3mもある深い軒のおかげで、夏の強い陽射しとゲリラ豪雨にも耐えうる

 第2のリビングとして機能してくれるはずです。

 昨今の日本の気候を考えると、木の窓と深い軒はこれまで以上に欠かせないものになってきました。



 
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 リビングの木の窓を全開にしたカットです。

 部屋の内外が一体となり、自然に外へ出たくなる感じが伝わってきます。

 室内・室外ともに無垢の杉床材が広がり、それらを支える骨組みも同種の杉材で構成されています。



 
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 リビングの一画には、十字の桟をデザインしたガラス窓が嵌っています。

 その脇の壁には大型テレビが置かれる予定で、バランスを考えながら大きさを整えていきました。



 
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 リビングからダイニングを見たところです。

 先ほどの全開した木の窓の内側には、同じく壁の中に納まる内障子を設けています。

 カーテンやスクリーンのようにかさ張らず、かつ断熱性が高い内障子は、とても便利です。



 
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 リビングの奥側を見たところです。

 平屋建ての良さを活かした勾配天井の入隅部分に、電動開閉式の天窓を設けています。

 天窓からの光がリビングの壁に反射するため、部屋の奥側が暗くなることを防いでくれています。



 
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 天窓からの光の先端が、ちょうど壁の入隅部になった瞬間を狙ってみました。

 おそらく、これから室内に居て、この光の動きを追うことが楽しみになってくるはずです。

 天窓は、現代版の日時計の役割をも果たしてくれるのではないでしょうか?



 
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 最後のカットは、洗面から浴室を見たところです。

 ロケーションの良さを最大限取り込みたいことから、間仕切りも浴室の窓も透明硝子にしました。

 覗かれる心配が無さそうなところなら、こうした思い切った選択は有りなのかもしれません。



 森に抱かれた広大な敷地に建つ、ガレージ付きの平屋建て。

 プライベートデッキでハンモックに揺られながら寛ぐ姿は、誰もが憧れる暮らし。

 建築家としてやれるところはここまで。

 これからは、住まい手がこの家に命を吹き込んでくれることを願うばかりです。




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by mura-toku | 2018-08-24 17:08 | 建築 | Comments(0)

 静岡県磐田市内で建築中の「IWATA・SLOW HOUSE」をご紹介します。

 流行に惑わされず、必要かつ好きなものだけに囲まれながらゆっくりと過ごしたいことを

 目的に、この家は計画されました。

 


 
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 南道路に面していることで陽当たりは良いものの、常に見られてしまうことが気になりました。

 南の大きな窓はその分沢山の光を取り込むことができますが、同時に外から見えやすくなって

 しまうので、日中でもレースカーテンを閉めている家をよく見かけます。

 それでは、せっかくの立地が台無しなので、これを解消するための方策を考えてみました。

 工事途中であるがゆえに分かりにくいところもあるかと思いますが、ご勘弁ください。

 ちなみに、外観の中央あたりに階段が架かっている奥側には、大きな窓を設けています。



 
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 室内からその窓を見たところです。

 ここはリビングですが、光と風を取り込むために吹抜を設けました。

 上の窓を見ると外には深い庇のような白い天井が見え、さらにその先には屋根の先端が窺えます。

 つまり、リビングは他の南面より凹ませていることで空間に奥行きが生まれ、包まれているような

 安心感を得られるというわけです。

 ただ、それだけでは外からの視線を遮ることはとても難しいので、策を考えました。

 それは、いくつかのレイヤーを重ねていくことでプライバシーを守ろうというものです。

 具体的には、完成した段階でご説明したいと思いますので、お楽しみに。



 
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 同じリビングの北側には、気兼ねなく窓が全開出来るスペースを設けています。

 窓の外には4畳半の大きさの木製デッキがあり、屋根が掛かっているため雨に濡れません。

 こちらも南の窓と同じく、屋外に十分な懐を取りながらレイヤーを重ねることで、プライバシー

 を確保しようと考えました。北側のインナーデッキは、落ち着いた空間に仕上がりそうです。



 
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 実はこの家、北側にもうひとつの吹抜空間を設けています。

 ひとつ前の写真の左奥にこの吹抜はあるのですが、ここは直接光を入れたりプライバシーを確保

 するために設けているわけではありません。

 南と北の吹抜を介して家族の気配を感じ取る心理的な意味合いと、家全体がワンルームスペース

 になることで屋内の温熱環境を均質にさせる暮らしやすさを考えてのものです。

 実際の暮らしの場面では、2階の子供スペースから階下のダイニングを見下ろしながら、そろそろ

 ご飯かな?と目と鼻で感じ取る子供の様子が目に浮かぶようですね。



 
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 これまでブログで紹介してきた「浜松・夢双庵」や「FUKUROI・FOREST HOUSE」に搭載されて

 いたソーラーシステムが、この家にも導入しています。

 太陽エネルギーを屋根でキャッチし、その熱を活かすシステムは次世代に必要不可欠になるものだ

 と思い、活用してきました。

 今秋の完成を目指して、猛暑の中、仕事は進んでいます!



 

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by mura-toku | 2018-08-08 15:36 | 建築 | Comments(0)

 静岡県袋井市内で建築中だった「FUKUROI・FOREST HOUSE」が、間もなく完成します。

 先日、外部仕上が完了し、足場が外されました。



 
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 道路からの進入路を上がると、インナーガレージ付の平屋建ての家が見えてきます。

 正面奥の森に対して、手を広げるかのような形態で全体のデザインを考えました。

 それはつまり、住宅とガレージをL型に配置するのではなく、への字型に配置することにより、

 優しく迎え入れつつ車の出入りをし易いようにするためです。

 工事の難易度は多少上がりますが、このちょっとしたことが家の良し悪しの決め手となります。



 
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 森の方に回り、南側から家の正面を見たところです。

 間口の広い形状に平屋建て特有の大らかな屋根が架けられ、伸びやかな表情の外観です。

 屋根の頂部には硝子付きの集熱板が載っていて、ソーラーシステムを搭載しています。

 ソーラーといっても、太陽光発電や給湯システムではなく、冬は太陽の熱により暖められた屋根

 下の空気を床下に送風して床を暖めたり、夏は室内の空気を強制的に排気したり、季節を問わず

 室内空気を循環したりできる多機能のシステムなのです。

 この季節、特に今年の夏は猛暑が続いていますが、このシステムのおかげで室内は空気が淀んで

 おらず、案外さらっとした感じを受けるから不思議です。



 
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 南側の屋根下に設けているインナーデッキになるところです。

 実際のウッドデッキはこれからですが、ブルーシートで覆われた面がデッキへ出られる開口部で

 雨の影響を受けにくい大きなアウトドアリビングとして活用されることでしょう。

 また、これだけ深い軒を出すことで、太陽の熱気を室内へ侵入させないことに繋がってもいます。



 
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 屋根の下には大きなリビングダイニングが設けられています。

 平屋建ての特長を最大限に活かした勾配天井と、天窓が印象的です。

 家の骨格を表す木組みを見せ、無垢のフローリング(今は養生しています)に砂漆喰塗りの壁、

 天井には簡素なラワン合板を選択しました。

 天窓は、雨が降ってきたらセンサーにより自動的に締まる装置が搭載された、電動開閉式です。



 
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 この家で唯一の畳の間です。

 南側の森を眺めながら、のんびり寛ぐために設けられました。

 天井の杉板とガラス窓の外に見える軒天(屋根下)が、外へと誘ってくれているようです。

 

 今月中旬の引渡しに向けて、工事は急ピッチで進められいます。

 大らかな佇まいの平屋建ての家は、周辺環境にさりげなく溶け込んでいくことでしょう。

 

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by mura-toku | 2018-08-03 14:40 | 建築 | Comments(0)

 先日開催した「浜松・夢双庵」のオープンハウス。

 台風12号の接近による影響が心配されましたが、さほどの影響はなく無事に終了しました。

 完全予約制ということで、来場いただいた皆様は時間の許す限り、じっくりとご覧いただきました。



 
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 当日限定で、地元の家具屋さん(無垢材専門のデザイン家具を取り扱っている)が置き家具を

 展示していただいたので、リアルな暮らしぶりが伝わったように思います。

 2階リビングの先にはダイニングがちらっと見えていて、空間が繋がっているのが分かります。

 窓の内側にはカーテンやブラインド・スクリーンではなく、障子をセットしました。

 その理由は、和風に仕立てたいというよりも、自然光の拡散による明るさと断熱性能の向上や

 和紙による調湿効果を図りたかったことによります。



 
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 窓の内障子を開けた状態で、リビングからダイニングを見たところです。

 障子を開けただけで、リビングとダイニングの関係がぐっと近づきますね。

 右手正面のローボードの上にはTVが置かれ、左手方向には屋根付きのバルコニーが広がります。

 家具を置くだけで、楽しんだり、寛いだりする光景が、目に浮かぶようです。



 
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 ダイニングから正面のバルコニー、左奥のリビングを見たところです。

 全ての窓が壁の中に仕舞えるので、開口部が美しく見えます。

 それによって外界が近づき、内と外の境界が曖昧になるような不思議な感覚を味わえるのです。

 来場された皆さまは、ここのテーブルで景色を眺めながら居心地が良いのか、長居をしていました。



 
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 ダイニングから左奥のキッチンと右奥のリビングを見たところです。

 それぞれの空間がどう繋がっているのか、お分かりいただけるかと思います。

 よく見ると、天井の構成や仕上げが異なっています。

 そこに立っているのか?それとも座っているのか?だったり、そこで作業をしているのか?

 それとも寛いでいるのか?の違いを定め、それぞれの天井を慎重にデザインしていきます。



 
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 キッチンからダイニングを見たところです。

 アイランドキッチンと右側の背面収納家具は、木質感を基調にしたデザインで取り纏めました。

 左側の壁は大谷石、右側の壁は手作り感が残るタイルを貼っています。

 キッチンの前方にダイニングテーブル、その先にはフルオープンの窓が広がります。



 
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 内障子を閉めると、三方が囲われ、アルコーブ感が強くなります。

 板貼りによる勾配天井と、床・障子の桟・天井の全てを縦のラインにすることで、より求心力が

 高まり、自然にここへと足を運んで食事をしたい気持ちになることでしょう。

 

 住まい手の要望をお聞きし、その家族にあった生活が送れることを少しでもサポートするのが、
 
 建築に携わるプロとしての役割です。

 そして、住まい手にとって使いやすかったり、丈夫に造ったり、省エネを追及したりするのが、

 建築設計者としての役割でもあります。

 さらに、住まい手が期待されていた以上の居心地の良さだったり、緻密に計算された無駄のない

 空間だったり、手足が触れる箇所へのさりげない配慮だったり、質感を損ねないようにコストを

 コントロールしたり、遊び心をくすぐるようなデザインだったりを一生懸命考えて提供するのが、

 私たち建築家の責務なのです。

 今でも、数十年前に設計をした住まい手からメンテナンスの相談を受けることがあります。

 家は住み始めてから真価が問われますので、長いお付き合いが出来るよう考えたいものです。

 

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by mura-toku | 2018-07-31 17:50 | 建築 | Comments(0)

 ❝ 浜松・夢双庵 ❞ の工事が終盤に入ってきました。

 大工工事がほぼ完了し、各職方による仕上げが進められています。

 まずは、そのワンカットをご紹介!


 
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 2階のリビングからインナーバルコニーを見たところです。
 正面から右側へと直角に折れる窓の建具は全て壁の中に引き込まれることにより、空間が内と
 外を完全に一体化することができました。
 正面奥のインナーバルコニーは、より屋外へと誘う仕掛けとして設けています。
 壁と天井は生成り色の砂漆喰塗り。吹抜空間を明るく広く見えるように考え、選択しました。



 
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 先ほどのリビングに隣接する和室です。
 床には畳が敷かれ、正面左側には押入用の戸襖と正面の窓には障子戸が入る予定です。
 壁はリビングと同じ砂漆喰塗りですが、注目していただきたいのは天井の仕上材。
 薩摩葦を全面に貼り、埋込照明をスリット状に設けてみました。
 最近あまり見られなくなった材料ですが、直線や平面で構成される空間を優しくそして柔らかく
 包み込むような印象を与えてくれています。
 自然光が天井に当たってもそのほとんどを吸収してしまう、魅力的な仕上げと言えるでしょう。



 
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 上の写真は薩摩葦(左から2つめ)をはじめ、他にも使用される和風の面材を見たところです。
 色合いや風合いを吟味した結果、今回は薩摩葦を採用しました。
 下の写真は、その材を拡大したものです。
 よく見ると、色や太さに違いがあるのがお分かりでしょうか。
 それでも遠目で見て水平ラインが保てるよう、職人は材を1本づつ見極めながら選別し、慎重に
 畳1帖大の大きさの面材をつくるのですから、これぞ職人ならではの仕事なのでしょうね。

 和室を設けない家が多くなったと、よく耳にします。
 限られた条件の中では仕方がないことなのかもしれませんが、少し寂しい気持ちになります。
 それは、季節の行事や親戚縁者の宿泊に使用しなくなったから必要ないのかもしれません。
 ただ、日常の暮らしにおいて、ごろっと横になったり、子供と遊んだり、洗濯物をたたんだり、
 冬には炬燵を出して鍋を囲んだり等々、わずかなスペースでもあって欲しいものだと思います。
 そこには、椅子やソファではなく、床に座ることの安心感=視線を下げる場が生まれます。
 床座で得られる限りない魅力を考え直してみるのも、大切なのではないでしょうか。


 

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by mura-toku | 2018-06-04 15:00 | 建築 | Comments(0)

 現場は、大工工事が終盤に入ってきました。
 今回は、大工による造作家具(現場で製作する仕事)について、ご紹介したいと思います。




 
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 この板は、オークの無垢板で原板の大きさが、巾630mm×長さ3900mm×厚さ75mmありました。
 俗に言う耳付(丸太をスライスして皮の部分まで残す挽き方)で、無垢材であることを示すために
 このままの形状(両端が波打っている)で使用することが多いのですが、今回はデザイン上、中央の
 良質な部分のみを木取りして、仕上げるようにしました。
 白チョークで描いた箇所が使用範囲を示していますが、両端の白太(皮に近い部分は白くて柔らかい)
 と長端部の割れを避けていることが分かります。
 このように、実際の材を目視しながら作り手と決めていく作業も、建築家として大切な仕事なのです。



 
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 先ほどの板材を加工して仕上がってきたものを、現場で寸法確認しているところです。
 このカウンターはダイニングの収納家具として使うことから、消耗しにくい堅木としました。
 加工前では板が綺麗に削られていないため様子が分かりにくかったのですが、完成品は見事な
 木目が浮き出ていて迫力を感じさせてくれました。
 左手奥の部分は窓台を兼ねているためカウンターが幅広くなっていて、境目には障子の敷居溝
 が掘られています。
 ただし、これをあまり考えずに加工をしてしまうと、板が反ってしまいますので、そのような
 ことにならないよう板の裏側で特殊な仕事をしてもらいました。
 これは、実物をご覧いただく方が分かりやすいので、その機会を楽しみにしていてください。
 



 
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 もうひとつの材は、最近、住宅や店舗で見かけることが多くなったブラックウォールナットです。
 ただ、先ほどのオークのように1枚の無垢板ではなく、幅の狭い板を貼り合わせた集成版を採用
 することにしました。
 その理由は、使用した部位によるところが大きいかと思います。



 
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 こちらは、本が大好きな建主のために製作してもらった書棚です。
 背板を除いた全ての材を、このブラックウォールナット集成版にしています。
 この材を採用した理由は、硬くて狂いにくく、強度があることを兼ね備えているからです。
 本の重量だけでも相当なものですが、写真のように床から浮かせているために、箱として固める
 必要がありました。
 独特な雰囲気を持つ材と漆喰壁との調和を、早く見てみたいものです。

 このように、置き家具と違って造作家具は、目的を見据えて適材を選択し、造ることが出来ます。
 もちろん材はピンキリですが、予算に合ったものを建主と選んでいくのも楽しい仕事と言えます。
 「自分たちの暮らしを見つめながら、素敵な材を見つけていく」
 そのためには、設計のプロである水先案内人が必要なのではないでしょうか!
 


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by mura-toku | 2018-04-06 18:41 | 建築 | Comments(0)