静岡県浜松市にある村松篤設計事務所の所長のブログです


by mura-toku
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カテゴリ:建築( 227 )


 ❝ 浜松・夢双庵 ❞ の工事が終盤に入ってきました。

 大工工事がほぼ完了し、各職方による仕上げが進められています。

 まずは、そのワンカットをご紹介!


 
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 2階のリビングからインナーバルコニーを見たところです。
 正面から右側へと直角に折れる窓の建具は全て壁の中に引き込まれることにより、空間が内と
 外を完全に一体化することができました。
 正面奥のインナーバルコニーは、より屋外へと誘う仕掛けとして設けています。
 壁と天井は生成り色の砂漆喰塗り。吹抜空間を明るく広く見えるように考え、選択しました。



 
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 先ほどのリビングに隣接する和室です。
 床には畳が敷かれ、正面左側には押入用の戸襖と正面の窓には障子戸が入る予定です。
 壁はリビングと同じ砂漆喰塗りですが、注目していただきたいのは天井の仕上材。
 薩摩葦を全面に貼り、埋込照明をスリット状に設けてみました。
 最近あまり見られなくなった材料ですが、直線や平面で構成される空間を優しくそして柔らかく
 包み込むような印象を与えてくれています。
 自然光が天井に当たってもそのほとんどを吸収してしまう、魅力的な仕上げと言えるでしょう。



 
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 上の写真は薩摩葦(左から2つめ)をはじめ、他にも使用される和風の面材を見たところです。
 色合いや風合いを吟味した結果、今回は薩摩葦を採用しました。
 下の写真は、その材を拡大したものです。
 よく見ると、色や太さに違いがあるのがお分かりでしょうか。
 それでも遠目で見て水平ラインが保てるよう、職人は材を1本づつ見極めながら選別し、慎重に
 畳1帖大の大きさの面材をつくるのですから、これぞ職人ならではの仕事なのでしょうね。

 和室を設けない家が多くなったと、よく耳にします。
 限られた条件の中では仕方がないことなのかもしれませんが、少し寂しい気持ちになります。
 それは、季節の行事や親戚縁者の宿泊に使用しなくなったから必要ないのかもしれません。
 ただ、日常の暮らしにおいて、ごろっと横になったり、子供と遊んだり、洗濯物をたたんだり、
 冬には炬燵を出して鍋を囲んだり等々、わずかなスペースでもあって欲しいものだと思います。
 そこには、椅子やソファではなく、床に座ることの安心感=視線を下げる場が生まれます。
 床座で得られる限りない魅力を考え直してみるのも、大切なのではないでしょうか。


 

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by mura-toku | 2018-06-04 15:00 | 建築 | Comments(0)

 現場は、大工工事が終盤に入ってきました。
 今回は、大工による造作家具(現場で製作する仕事)について、ご紹介したいと思います。




 
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 この板は、オークの無垢板で原板の大きさが、巾630mm×長さ3900mm×厚さ75mmありました。
 俗に言う耳付(丸太をスライスして皮の部分まで残す挽き方)で、無垢材であることを示すために
 このままの形状(両端が波打っている)で使用することが多いのですが、今回はデザイン上、中央の
 良質な部分のみを木取りして、仕上げるようにしました。
 白チョークで描いた箇所が使用範囲を示していますが、両端の白太(皮に近い部分は白くて柔らかい)
 と長端部の割れを避けていることが分かります。
 このように、実際の材を目視しながら作り手と決めていく作業も、建築家として大切な仕事なのです。



 
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 先ほどの板材を加工して仕上がってきたものを、現場で寸法確認しているところです。
 このカウンターはダイニングの収納家具として使うことから、消耗しにくい堅木としました。
 加工前では板が綺麗に削られていないため様子が分かりにくかったのですが、完成品は見事な
 木目が浮き出ていて迫力を感じさせてくれました。
 左手奥の部分は窓台を兼ねているためカウンターが幅広くなっていて、境目には障子の敷居溝
 が掘られています。
 ただし、これをあまり考えずに加工をしてしまうと、板が反ってしまいますので、そのような
 ことにならないよう板の裏側で特殊な仕事をしてもらいました。
 これは、実物をご覧いただく方が分かりやすいので、その機会を楽しみにしていてください。
 



 
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 もうひとつの材は、最近、住宅や店舗で見かけることが多くなったブラックウォールナットです。
 ただ、先ほどのオークのように1枚の無垢板ではなく、幅の狭い板を貼り合わせた集成版を採用
 することにしました。
 その理由は、使用した部位によるところが大きいかと思います。



 
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 こちらは、本が大好きな建主のために製作してもらった書棚です。
 背板を除いた全ての材を、このブラックウォールナット集成版にしています。
 この材を採用した理由は、硬くて狂いにくく、強度があることを兼ね備えているからです。
 本の重量だけでも相当なものですが、写真のように床から浮かせているために、箱として固める
 必要がありました。
 独特な雰囲気を持つ材と漆喰壁との調和を、早く見てみたいものです。

 このように、置き家具と違って造作家具は、目的を見据えて適材を選択し、造ることが出来ます。
 もちろん材はピンキリですが、予算に合ったものを建主と選んでいくのも楽しい仕事と言えます。
 「自分たちの暮らしを見つめながら、素敵な材を見つけていく」
 そのためには、設計のプロである水先案内人が必要なのではないでしょうか!
 


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by mura-toku | 2018-04-06 18:41 | 建築 | Comments(0)

 前回に引き続き、適材適所について考えてみましょう。
 今回は、家の中で気になるWC・洗面・浴室などの水廻りです。



 

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 まずは、洗面室のPLANを説明します。
 右手正面に洗面カウンター、左手手前に洗濯機を置く、比較的オーソドックスなレイアウトで、
 洗面脱衣室とも呼ばれています。
 洗面カウンターの上の壁は特注サイズの全面ミラーを貼り、さらにその上は電動開閉式の横長
 スリット窓を設けました。
 こんなに窓が小さくても、天井に接する位置に設けることで室内を明るくすることが出来ます。
 側面の壁には、歯磨きやシェーバー等を置くための埋込棚(壁の厚さを利用)を設けました。

 仕上材に目を移しましょう。
 壁・天井には、白木の板を全面貼りしています。
 こうすると高級旅館を希望されているように見えますが、決してそうではありません。
 この板の性能がとても高く、こうした場所に最も適していると思うからです。
 家の中で高湿度になる空間だからこそ、湿度調節が可能で、高い抗菌性を兼ね備えた材を使用
 することが、家を長持ちさせることに繋がるのではないでしょうか。
 ちなみに我が家は15年経ちましたが、今のところカビや腐れなどは発生していません。
 さて、気になるその板は何かと言うと、定番で使用している青森産の天然ひば(無垢)です。
 予算が許せるなら、このように仕上りが美しい床用の一枚板が良いでしょう。



 
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 もちろん、浴室も同じ板を貼りました。
 さすがに、床に接するところまでは貼れませんので、腰の部分(グレーのコンクリート面)は
 石貼り(水に濡れると美しい緑色になる十和田石)としています。
 この石は温泉浴場などでよく見掛けられるもので、滑りにくく足触りの良さが特徴です。
 天井の四角い穴には換気扇、丸い穴には読書のための照明を設置するためのものです。



 
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 仕上材を選定するにあたり、意見が分かれるのはWCです。
 先に紹介したひば板を貼るほど湿度が高い部屋ではないので、あまり必要とされていません。
 逆に、汚れにくく拭き掃除が容易なものを選ばれるような気がします。
 上の写真は1階のWCですが、腰の部分はメラミン化粧板、壁と天井は和紙貼りにしました。
 右手前には手洗いカウンターを設けたので、蛇口から出る水はねを考慮した高さまでを汚れ
 にくい素材とし、それ以外は風合いを考えたナチュラルな仕上げとしています。

 このように、家の中ではシチュエーションの違いにより、選ぶ仕上が変わります。
 ただ、機能性を重視しすぎると、無機質な冷たい印象になってしまうので、注意が必要です。
 毎日使う水廻りだからこそ安易に考えず、自分たちの暮らし方に合った仕上を選定すべきでしょう。



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by mura-toku | 2018-04-03 18:28 | 建築 | Comments(0)

 ❝ 浜松・夢双庵 ❞ の玄関が形になってきました。



 
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 玄関入口から見た感じです。
 手前の天井は低く抑え、奥の天井を上げてみました。
 グレーの穴開きボードの面は砂漆喰塗りになりますので、明るい仕上がりになります。
 つまり、天井の低い部分は壁と同化するため存在感がなくなり、奥の天井に視線が運ばれるよう
 考えました。そこで、まずは奥の天井を見てみましょう。



 
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 天井板は屋久杉の無垢板、それに取り合う細い木材は吉野杉の赤柾材です。
 最近の住宅ではほとんど見られなくなりましたが、無垢の天井板を貼ってみました。
 うっすらとラインが入っていることと、板と板が重なっているところが無垢の証です。
 写真では判別が付きませんが、とてもいい仕事をしてもらいました。
 なかなか実物をご覧いただける機会が少ないので、完成時にご覧いただきたいと思います。



 
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 靴を脱いで最初に足で踏む材(式台)は、栗を選択しました。
 建主の要望を踏まえながら、材のバランスを見て、小ぶりのナグリを施しています。
 これは塗装前の状態ですが、こちらもいい感じに仕上がりました。
 足に触れた瞬間、心地良さが伝わり、視線の先には屋久杉の天井が広がります。



 
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 もうひとつの注目点は、先ほどの式台と同じ栗材を下足入れの天板に使用していることです。
 流れるようなひとつながりの木目模様は、一目見て無垢であることが分かります。
 最初の玄関全景カットで、左側に写っている腰高のカウンターがこの材です。
 左奥の窓の手前に障子戸を入れ込むため、天板に溝を掘り込みました。


 今回は玄関を紹介しましたが、土足から床へ上がる高さの変化や、限られたスペースゆえの間近で
 見られることに耐えられる設計をしなければなりません。
 それには計算された空間設計はもちろんのこと、使用する材まで気を配りたいものです。
 そして、その選択はひとつの材(今回は栗のナグリ)によるところが大きいと言えます。

 様々な人が出入りする玄関は、設計者にとって最も緊張する場であり、材を見て欲しい場でもある
 ことを付け加えておきたいと思います。国産の栗と屋久杉、吉野杉の選択。必見の価値ありです!



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by mura-toku | 2018-03-28 17:38 | 建築 | Comments(0)

 ❝ 浜松・夢双庵 ❞ の西面外装工事が完了しました。



 
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 この西面に採用した外装材は、塗装ガルバリウム鋼板の角波スパンドレルというもので、
 正面から釘やビスを見せずに張ることが出来るため、耐久性に優れています。
 隣家が迫っていることもあり、頻繁にメンテナンスをすることが無いよう、穴あき25年・
 塗膜15年保証と遮熱・耐汚染機能が付いた高耐久製品を採用しました。
 もうひとつの理由は、この面が西面であるということです。
 それは・・・このまま説明を続けてもいいのですが、外装材の話に逸れてしまいそうなので、
 ここから本題に入ります。

 写真中央に見える窓をご覧ください。
 窓の上と左に板材がカバーされていますね。
 もう少し近づいて見てみましょう。



 
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 やはり、窓の上と左に巾広の板が取り付いています。
 ちなみに、この窓は横軸回転(正確には軸が移動しながら窓の下側から開いていって、窓が
 水平になったら止まる)の滑り出しなので、多くの場合は板が設置されていません。
 コストやデザインによる理由が大きいかと思われますが、果たしてそれでいいのでしょうか?

 家は外観デザインを整えつつ、住まうことに対応しなければ意味がありません。
 さらに言うのなら、あらゆる環境に対応できる窓でありたいと、常々考えています。
 前の写真をご覧いただければお分かりのように、この窓と上の屋根には相当の距離があります。
 2階の窓なので、少し開けたまま外出してしまい、帰宅したら不意の雨が降り込んでいた、と
 いうことも考えられなくはありませんね。そう、答えは雨除け(霧除け)のためでした。

 もうひとつの左側の板は何でしょう?
 それは、西面に答えがあります。
 周囲の状況にもよりますが、何と言っても夏期の西日対策です。
 ご承知のように、夏の西日は緩い角度で北西方向から射し込んできます。
 答えはそれを防ぐためなのですが、実はそれだけではありません。
 浜松特有の季節風(南~南西の風)をこの板で受けとめ、風を室内に導くためです。




 
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 この家は、2013年に竣工した ❝ 磐田・直庵 ❞ です。
 少し分かりにくいかもしれませんが、2階の窓には同じく上には庇が、左には壁が付いています。
 詳細をお知りになりたい方は、こちらをご覧ください。


 



 
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 ❝ 浜松・夢双庵 ❞ に取り付いているもうひとつの庇です。
 こちらは縦長の窓で、同じく滑り出しなのですが、縦軸回転(軸が移動しながら窓の手前側から
 開いていって、窓が90度になったら止まる)になります。
 つまり、窓を開ければそれが風を受けとめるため、上の雨除け用庇だけで十分なのです。
 



 
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 この家は、2016年に竣工した ❝ HAMAMATSU・AKANE HOUSE ❞ です。
 同じように、右手の西面2階窓上には庇が付き、窓を開けて風を呼び込んでいます。
 よろしければ、こちらもご覧ください。


 


 日本は今、酷暑・豪雨・極寒などの異常気象に見舞われています。
 こうした状況を乗り切るためには、庇ひとつもおろそかに出来ません。
 想定できるシチュエーションに対応可能な設計を心掛けることは、とても大切です。
 各地の気候を踏まえ、自然に逆らわない家づくりを進めていきたいと思います。


 



 
 

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by mura-toku | 2018-03-20 15:45 | 建築 | Comments(0)

 ガレージ付き平屋建て住宅 ❝ FUKUROI・FOREST HOUSE ❞ には、大きな軒下があります。


 
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 南東側からの外観です。
 手前に4本柱が立っている奥のスペースは雨が降り込まず、外で何かをしたい時には役立ちます。
 例えば、こどもと水遊びをしたり、ハンモックを吊るしてぼんやり過ごすことも出来るでしょう。


 


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 近づいてみると、大きなスペースであることがよく分かります。
 ちなみに、右側のブルーシートのところが窓になり、柱まで1.8mの距離があります。
 完成時には木製のデッキが設けられ、より広く感じられることでしょう。


 


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 屋内から見たところです。
 シンプルな架構に大きな窓が開けられています。
 この窓はフルオープンの木製建具が嵌められ、室内外が一体になるデザインとしました。
 さらに、その外側には直接出られる木製デッキが連続するので、気持ちいい空間が広がります。

 最近の異常気象による集中豪雨を避けるためにも、大きな軒下を見つめ直してみたいものです。
 家の耐久性は雨の多い日本の気候を踏まえ、屋根の架け方を工夫すべきではないでしょうか?
 もう一度、家を長いスパンで考え、ダメージの少ない設計を心掛けるべきだと思います。



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by mura-toku | 2018-03-14 16:39 | 建築 | Comments(0)

 現場が進行する中、室内で一番天井が高いリビングの下塗りが完了しました。



 
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 目を凝らして見ないと分かりませんが、斜めの天井全面に塗られています。
 ちなみに、左官材を塗る前は右手の穴開きボード(ラスボードという)が貼られていました。
 ラスボードを使用した理由は、左官材の密着を良くすることと、仕上げの精度を高めるために
 下地を平滑にしたかったからです。
 最近は、コスト削減と時間短縮が主流となり、このように手間を掛けることが少なくなりました。
 参考までに、以前のブログで紹介した下地状況をご覧ください。

 


 
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 先ほどの写真は、リビングから南方向を見たところでしたが、こちらは反対側の北方向になります。
 手前の開口から奥に見える白いボードが貼られている所までは、畳の間になる部分です。
 ラスボードも左官下塗りも同じグレーカラーなので暗い印象に見えますが、仕上がりは白を基調と
 した生成り色になりますので、相当明るい室内に変貌することでしょう。
 ただ、この段階でもひと際明るく映っているのが、左上のトップライトです。


 
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 その部分を見上げたところです。
 左官職人の腕の見せ所が詰まった、思わず唸ってしまうくらいの出来栄えです。
 左官仕事は、大きな面(中でも壁より天井)を平滑に仕上げることが難しいと言われていますが、
 ここでは出隅(壁と天井のコーナー)と入隅(勾配天井の対角線が上がっていくライン)が加わっ
 ていますので、難度は高い部類に入るでしょう。
 
 どんな仕事でも共通することは、最後の仕上げよりも下地(下塗り)が重要です。
 下地が良くなければ、決して良い仕上げにはなりません。
 仕上げは後でやり直しができますが、下地までの直しは難しいことを付け加えておきます。



 

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by mura-toku | 2018-03-08 14:52 | 建築 | Comments(0)

 最近の住宅は、以前に比べて工事期間がずいぶん短くなりました。
 早いものでは、普通の木造住宅でも2~3か月で完成してしまうことがあるようです。
 その背景には、新商品の登場や現場の省力化によるところがあるかと思いますが、はたして
 それでいいのかと、どうしても考えてしまいます。
 中でも外壁は、「金属板やサイディングのように貼れば完了、メンテナンスフリー」などの
 コメントを鵜呑みにし、多くの住宅で用いられているのが現状です。
 もちろん、これらの仕上材でもそれなりに良い素材を用いたり、表面処理に耐久性を施した
 ものであれば分からなくもないのですが、現場では廉価版が数多く見受けられます。


 
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 この現場では、昔ながらのラスモルタル塗り(防水紙の上に金属の網を貼り、その上にセメント
 と砂を混合したモルタルを塗ること)を漆喰塗りの下地として用いています。
 先に紹介した廉価版のものと比べれば高価にはなりますが、左官職人の手仕事による陰翳や連続
 した面としての魅力には、替え難いものがあるように思います。



 
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 アプローチから見上げた外観です。
 グレーに塗られたモルタル面が、最終的には漆喰塗りの表情に変わります。
 屋根の直下に貼られた杉板とのコントラストも生まれ、今から完成が楽しみです。


 
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 少し外壁に寄ってみたところです。
 「左官仕上はクラックが入るから止めた方が良い。見た目が悪くなるし、最悪のケースは雨漏り
 の原因になる」という声を未だに耳にしますが、これらの多くは施工不良が原因と言われています。
 クラックは様々な要因が考えられますが、一番気を付けなければならない点は下地=下塗りだと
 いってもいいでしょう。仕上げるまでに下地を十分乾かしておくことが、肝心なのです。
 また、クラックからの雨漏りは外壁通気層(外壁と躯体との間に結露防止用の通気を設けている)
 があれば考えられず、逆に雨が侵入した場合はこれを設けていないことになります。


 
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 先ほどの写真の左奥を見返したところです。
 グレーのモルタル面は一部の天井も塗っています。
 屋外の天井に塗る場合は壁以上に注意が必要ですが、確かな仕事であれば何の問題もありません。
 このように直に風雨の影響を受けない設計上の配慮が必要なのは、言うまでもないでしょう。
 外壁も同じように、屋根の出を極力大きく取ったほうが傷みにくいので、注意したいところです。

 どんなケースにおいても言えることですが、建築は長いスパンで考えることが重要です。
 すなわち、工事段階で相応のコストを掛けなければ長持ちはせず、後で後悔することになります。
 やはり良いものは風合いも良くなり、結果的には長持ちするということでしょうか。



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by mura-toku | 2018-03-01 18:38 | 建築 | Comments(0)

 一般的に2階建て住宅を建てる場合、その多くは1階にリビングを希望されます。
 その理由は、夢にまで見た一戸建てだから、土と接する暮らしをしたいのでしょうか?
 それとも、リビングと連続するアウターデッキに出て、子供と遊びたいのでしょうか?
 どちらも気持ちはよく分かりますが、同時にリビングを天井の高い空間にしたいと思うと
 2階が載っている場合は天井の高さや形状に限界があります。
 もちろん、2階が載らない位置にリビングを設けるようにすれば問題ありません。
 しかしながら、そのほとんどは様々な制約を受けていて、思うようにいかないのが現実です。


 
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 そんな時、これらを解決する方法のひとつに、平屋建ての選択があります。
 相応の敷地が無ければ難しいのかもしれませんが、平屋建てなら屋根裏まで広がる開放的な
 空間をつくることは容易です。
 しかも、通常の水平天井ではなく、屋根と連動した勾配天井が空間に豊かさを加えてくれます。



 
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 写真手前がリビングになる空間ですが、屋根のラインに沿って天井が貼られていきます。
 空間を余すところなく利用した、平屋建てならではの魅力がお分かりいただけるかと思います。
 右上の北側屋根には電動開閉式の天窓を設け、自然の光と風を室内に導くよう考えました。
 この天窓は、1日を通して安定した光と、雨センサー付き(雨が降ると自動的に窓が閉まる)
 なので天候に左右されない常時換気が役立ちます。
 空間を構成している水平・垂直・勾配の木材は、全体の意匠を取り纏めながら並行して構造が
 成立するよう、見せる材と見せない材を分別し、無理の無いように整えています。


 
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 これは、空間を支える梁(柱の上に水平に載る材)の選定をしているところです。
 とても地味な作業ですが、いつも大工棟梁と一緒に時間を掛けて行います。
 色艶や強度の関係から天龍産の杉無垢材を使用することが多いのですが、木目の表情や節・割れ
 の具合を目視しながら、1本1本納得するまで、材を転ばして見せる面を慎重に決めていきます。


 
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 材を選定した後は、このように番付を行います。
 番付とは、その材がどの位置にくるのかを、予め決められた通り番号で示していくことです。
 同時に、長さをカットする位置やどの面を見せるのかを、材に直接描いていきます。

 このように、あらゆる段階において、事前の準備を怠らないことがとても大切です。
 美しさを追求する設計段階での説明はしにくいのですが、丈夫に造っていることを露骨に見せず、
 骨組みを支えている柱や梁の構造材をバランス良く見せることをいつも心掛けています。
 往々にして、美しく組み上がった建築は、決して裏切らない結果を導いてくれるものです。



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by mura-toku | 2018-02-26 17:39 | 建築 | Comments(0)

 設計をするにあたって重要なポイントはいくつもありますが、中でも慎重に選びたいものの
 ひとつに床材があります。
 その理由は、意匠性・耐久性・居住性をバランスよくクリアしながら、肝心なコストも合格
 しなければならないからです。
 住宅を設計する場合、候補として考えられるのはフローリング・タイル・石・左官・シート
 等がありますが、特に注意が必要なのはフローリングです。
 


 
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 吹抜空間を見下ろしたこの住宅は、2008年に竣工した「浜松・山東庵」ですが、

 

 タイルとフローリングの床材を使用しています。
 タイル仕上の多くは、職人が全体の大きさや色合いを見ながら経験と勘で貼っていきますが、
 現場で下地を造ってからの施工になるので、不具合が出た場合は貼り直しが可能になります。
 これに対してフローリング仕上は、先に貼ってからその上の巾木・壁へと施工していくため、
 将来的に部分的な補修は出来るものの、全面貼り替えは容易ではありません。



 
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 今回の選定にあたって、先に挙げた条件をクリアする床材が中々見つかりませんでした。
 以前から好んで選定している針葉樹の無垢フローリングでは、色合い・木目模様・硬さにおいて
 クリアが出来ず、地元を含め様々な材を当たっては見たものの採用には至らずにいました。
 そんな時、30年前からお世話になっている東京の老舗銘木店に相談したところ、「ラオス松の
 赤柾なら多少は残っているけど」と言われ、すぐに東京まで見に行きました。
 松特有の赤身と柾目が通っているのを見て、これだと確信したのを今でもはっきり覚えています。
 その後、建主ご夫妻にも足を運んでいただき、納得した上での採用となりました。


 
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 昨年の暮れに大事なフローリングは、東京からわざわざ店主自らトラックに積み込み、現場まで
 乗り入れをしていただきました。
 国産の針葉樹無垢フローリングなら、一束(12cm×12cm×3.7m)を一人で担げるのですが、
 目が詰んでいて比重が大きいため、二人掛りでの搬入となりました。
 



 
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 現場搬入後は棟梁自ら梱包を開け、全ての材を確認してから各所への仕分けを行いました。
 無垢材でしかも在庫限り、さらに今は輸入されていない稀少な床材とあり、失敗は許されません。
 赤柾の良材とはいえ、見ての通り少し白っぽいものから赤が強調されているものまでがあるため、
 一枚一枚の特長を見極めながらの作業は相当神経を使います。
 
 針葉樹特有の足触りの良さを感じつつ、広葉樹や金属製の置き家具に耐えうる材としては、ほぼ
 及第点がもらえるものであろうと自負しています。
 経年変化でさらに飴色になり、木目の凹凸を感じられるようになることが、今から楽しみです。
 
 

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by mura-toku | 2018-02-22 15:19 | 建築 | Comments(0)