静岡県浜松市にある村松篤設計事務所の所長のブログです


by mura-toku
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

カテゴリ:建築( 231 )


 静岡県袋井市内で工事中だった「FUKUROI・FOREST HOUSE」が完成しました。



 
b0111173_16091237.jpg



 前面道路から見上げたところです。

 人間の背丈以上の高台に建つということで、平屋建てを選択しました。



 
b0111173_16120592.jpg


 道路から進入路を登った先には、への字型の平屋建てが姿を現します。

 右手奥が2台分のガレージ、左側が住宅で、雨に濡れずに玄関へとアクセスが可能です。

 正面奥に見える森の緑が、訪問客を優しく迎え入れてくれています。



 
b0111173_16181653.jpg


 敷地の奥、すなわち南側(森は南にある)から見える全景です。

 平屋の特性を活かし、水平ラインを強調したデザインで纏めてみました。

 屋根の頂部には、太陽熱利用のソーラーシステムが搭載されています。



 
b0111173_16223036.jpg


 森を望みながらアクティブに暮らしを楽しむため、大きなインナーデッキを設けました。

 窓から屋根の先端まで約3mもある深い軒のおかげで、夏の強い陽射しとゲリラ豪雨にも耐えうる

 第2のリビングとして機能してくれるはずです。

 昨今の日本の気候を考えると、木の窓と深い軒はこれまで以上に欠かせないものになってきました。



 
b0111173_16312302.jpg


 リビングの木の窓を全開にしたカットです。

 部屋の内外が一体となり、自然に外へ出たくなる感じが伝わってきます。

 室内・室外ともに無垢の杉床材が広がり、それらを支える骨組みも同種の杉材で構成されています。



 
b0111173_16382953.jpg


 リビングの一画には、十字の桟をデザインしたガラス窓が嵌っています。

 その脇の壁には大型テレビが置かれる予定で、バランスを考えながら大きさを整えていきました。



 
b0111173_16412517.jpg


 リビングからダイニングを見たところです。

 先ほどの全開した木の窓の内側には、同じく壁の中に納まる内障子を設けています。

 カーテンやスクリーンのようにかさ張らず、かつ断熱性が高い内障子は、とても便利です。



 
b0111173_16441551.jpg


 リビングの奥側を見たところです。

 平屋建ての良さを活かした勾配天井の入隅部分に、電動開閉式の天窓を設けています。

 天窓からの光がリビングの壁に反射するため、部屋の奥側が暗くなることを防いでくれています。



 
b0111173_16480842.jpg


 天窓からの光の先端が、ちょうど壁の入隅部になった瞬間を狙ってみました。

 おそらく、これから室内に居て、この光の動きを追うことが楽しみになってくるはずです。

 天窓は、現代版の日時計の役割をも果たしてくれるのではないでしょうか?



 
b0111173_16531687.jpg


 最後のカットは、洗面から浴室を見たところです。

 ロケーションの良さを最大限取り込みたいことから、間仕切りも浴室の窓も透明硝子にしました。

 覗かれる心配が無さそうなところなら、こうした思い切った選択は有りなのかもしれません。



 森に抱かれた広大な敷地に建つ、ガレージ付きの平屋建て。

 プライベートデッキでハンモックに揺られながら寛ぐ姿は、誰もが憧れる暮らし。

 建築家としてやれるところはここまで。

 これからは、住まい手がこの家に命を吹き込んでくれることを願うばかりです。




[PR]
by mura-toku | 2018-08-24 17:08 | 建築 | Comments(0)

 静岡県磐田市内で建築中の「IWATA・SLOW HOUSE」をご紹介します。

 流行に惑わされず、必要かつ好きなものだけに囲まれながらゆっくりと過ごしたいことを

 目的に、この家は計画されました。

 


 
b0111173_14243106.jpg


 南道路に面していることで陽当たりは良いものの、常に見られてしまうことが気になりました。

 南の大きな窓はその分沢山の光を取り込むことができますが、同時に外から見えやすくなって

 しまうので、日中でもレースカーテンを閉めている家をよく見かけます。

 それでは、せっかくの立地が台無しなので、これを解消するための方策を考えてみました。

 工事途中であるがゆえに分かりにくいところもあるかと思いますが、ご勘弁ください。

 ちなみに、外観の中央あたりに階段が架かっている奥側には、大きな窓を設けています。



 
b0111173_14462603.jpg


 室内からその窓を見たところです。

 ここはリビングですが、光と風を取り込むために吹抜を設けました。

 上の窓を見ると外には深い庇のような白い天井が見え、さらにその先には屋根の先端が窺えます。

 つまり、リビングは他の南面より凹ませていることで空間に奥行きが生まれ、包まれているような

 安心感を得られるというわけです。

 ただ、それだけでは外からの視線を遮ることはとても難しいので、策を考えました。

 それは、いくつかのレイヤーを重ねていくことでプライバシーを守ろうというものです。

 具体的には、完成した段階でご説明したいと思いますので、お楽しみに。



 
b0111173_15064624.jpg


 同じリビングの北側には、気兼ねなく窓が全開出来るスペースを設けています。

 窓の外には4畳半の大きさの木製デッキがあり、屋根が掛かっているため雨に濡れません。

 こちらも南の窓と同じく、屋外に十分な懐を取りながらレイヤーを重ねることで、プライバシー

 を確保しようと考えました。北側のインナーデッキは、落ち着いた空間に仕上がりそうです。



 
b0111173_15143183.jpg


 実はこの家、北側にもうひとつの吹抜空間を設けています。

 ひとつ前の写真の左奥にこの吹抜はあるのですが、ここは直接光を入れたりプライバシーを確保

 するために設けているわけではありません。

 南と北の吹抜を介して家族の気配を感じ取る心理的な意味合いと、家全体がワンルームスペース

 になることで屋内の温熱環境を均質にさせる暮らしやすさを考えてのものです。

 実際の暮らしの場面では、2階の子供スペースから階下のダイニングを見下ろしながら、そろそろ

 ご飯かな?と目と鼻で感じ取る子供の様子が目に浮かぶようですね。



 
b0111173_15313184.jpg


 これまでブログで紹介してきた「浜松・夢双庵」や「FUKUROI・FOREST HOUSE」に搭載されて

 いたソーラーシステムが、この家にも導入しています。

 太陽エネルギーを屋根でキャッチし、その熱を活かすシステムは次世代に必要不可欠になるものだ

 と思い、活用してきました。

 今秋の完成を目指して、猛暑の中、仕事は進んでいます!



 

[PR]
by mura-toku | 2018-08-08 15:36 | 建築 | Comments(0)

 静岡県袋井市内で建築中だった「FUKUROI・FOREST HOUSE」が、間もなく完成します。

 先日、外部仕上が完了し、足場が外されました。



 
b0111173_13525532.jpg


 道路からの進入路を上がると、インナーガレージ付の平屋建ての家が見えてきます。

 正面奥の森に対して、手を広げるかのような形態で全体のデザインを考えました。

 それはつまり、住宅とガレージをL型に配置するのではなく、への字型に配置することにより、

 優しく迎え入れつつ車の出入りをし易いようにするためです。

 工事の難易度は多少上がりますが、このちょっとしたことが家の良し悪しの決め手となります。



 
b0111173_14053458.jpg


 森の方に回り、南側から家の正面を見たところです。

 間口の広い形状に平屋建て特有の大らかな屋根が架けられ、伸びやかな表情の外観です。

 屋根の頂部には硝子付きの集熱板が載っていて、ソーラーシステムを搭載しています。

 ソーラーといっても、太陽光発電や給湯システムではなく、冬は太陽の熱により暖められた屋根

 下の空気を床下に送風して床を暖めたり、夏は室内の空気を強制的に排気したり、季節を問わず

 室内空気を循環したりできる多機能のシステムなのです。

 この季節、特に今年の夏は猛暑が続いていますが、このシステムのおかげで室内は空気が淀んで

 おらず、案外さらっとした感じを受けるから不思議です。



 
b0111173_14210182.jpg


 南側の屋根下に設けているインナーデッキになるところです。

 実際のウッドデッキはこれからですが、ブルーシートで覆われた面がデッキへ出られる開口部で

 雨の影響を受けにくい大きなアウトドアリビングとして活用されることでしょう。

 また、これだけ深い軒を出すことで、太陽の熱気を室内へ侵入させないことに繋がってもいます。



 
b0111173_14283680.jpg


 屋根の下には大きなリビングダイニングが設けられています。

 平屋建ての特長を最大限に活かした勾配天井と、天窓が印象的です。

 家の骨格を表す木組みを見せ、無垢のフローリング(今は養生しています)に砂漆喰塗りの壁、

 天井には簡素なラワン合板を選択しました。

 天窓は、雨が降ってきたらセンサーにより自動的に締まる装置が搭載された、電動開閉式です。



 
b0111173_14345601.jpg


 この家で唯一の畳の間です。

 南側の森を眺めながら、のんびり寛ぐために設けられました。

 天井の杉板とガラス窓の外に見える軒天(屋根下)が、外へと誘ってくれているようです。

 

 今月中旬の引渡しに向けて、工事は急ピッチで進められいます。

 大らかな佇まいの平屋建ての家は、周辺環境にさりげなく溶け込んでいくことでしょう。

 

[PR]
by mura-toku | 2018-08-03 14:40 | 建築 | Comments(0)

 先日開催した「浜松・夢双庵」のオープンハウス。

 台風12号の接近による影響が心配されましたが、さほどの影響はなく無事に終了しました。

 完全予約制ということで、来場いただいた皆様は時間の許す限り、じっくりとご覧いただきました。



 
b0111173_16211733.jpg


 当日限定で、地元の家具屋さん(無垢材専門のデザイン家具を取り扱っている)が置き家具を

 展示していただいたので、リアルな暮らしぶりが伝わったように思います。

 2階リビングの先にはダイニングがちらっと見えていて、空間が繋がっているのが分かります。

 窓の内側にはカーテンやブラインド・スクリーンではなく、障子をセットしました。

 その理由は、和風に仕立てたいというよりも、自然光の拡散による明るさと断熱性能の向上や

 和紙による調湿効果を図りたかったことによります。



 
b0111173_16341259.jpg


 窓の内障子を開けた状態で、リビングからダイニングを見たところです。

 障子を開けただけで、リビングとダイニングの関係がぐっと近づきますね。

 右手正面のローボードの上にはTVが置かれ、左手方向には屋根付きのバルコニーが広がります。

 家具を置くだけで、楽しんだり、寛いだりする光景が、目に浮かぶようです。



 
b0111173_16431310.jpg


 ダイニングから正面のバルコニー、左奥のリビングを見たところです。

 全ての窓が壁の中に仕舞えるので、開口部が美しく見えます。

 それによって外界が近づき、内と外の境界が曖昧になるような不思議な感覚を味わえるのです。

 来場された皆さまは、ここのテーブルで景色を眺めながら居心地が良いのか、長居をしていました。



 
b0111173_16433656.jpg


 ダイニングから左奥のキッチンと右奥のリビングを見たところです。

 それぞれの空間がどう繋がっているのか、お分かりいただけるかと思います。

 よく見ると、天井の構成や仕上げが異なっています。

 そこに立っているのか?それとも座っているのか?だったり、そこで作業をしているのか?

 それとも寛いでいるのか?の違いを定め、それぞれの天井を慎重にデザインしていきます。



 
b0111173_17022966.jpg


 キッチンからダイニングを見たところです。

 アイランドキッチンと右側の背面収納家具は、木質感を基調にしたデザインで取り纏めました。

 左側の壁は大谷石、右側の壁は手作り感が残るタイルを貼っています。

 キッチンの前方にダイニングテーブル、その先にはフルオープンの窓が広がります。



 
b0111173_17024743.jpg


 内障子を閉めると、三方が囲われ、アルコーブ感が強くなります。

 板貼りによる勾配天井と、床・障子の桟・天井の全てを縦のラインにすることで、より求心力が

 高まり、自然にここへと足を運んで食事をしたい気持ちになることでしょう。

 

 住まい手の要望をお聞きし、その家族にあった生活が送れることを少しでもサポートするのが、
 
 建築に携わるプロとしての役割です。

 そして、住まい手にとって使いやすかったり、丈夫に造ったり、省エネを追及したりするのが、

 建築設計者としての役割でもあります。

 さらに、住まい手が期待されていた以上の居心地の良さだったり、緻密に計算された無駄のない

 空間だったり、手足が触れる箇所へのさりげない配慮だったり、質感を損ねないようにコストを

 コントロールしたり、遊び心をくすぐるようなデザインだったりを一生懸命考えて提供するのが、

 私たち建築家の責務なのです。

 今でも、数十年前に設計をした住まい手からメンテナンスの相談を受けることがあります。

 家は住み始めてから真価が問われますので、長いお付き合いが出来るよう考えたいものです。

 

[PR]
by mura-toku | 2018-07-31 17:50 | 建築 | Comments(0)

 ❝ 浜松・夢双庵 ❞ の工事が終盤に入ってきました。

 大工工事がほぼ完了し、各職方による仕上げが進められています。

 まずは、そのワンカットをご紹介!


 
b0111173_13551539.jpeg


 2階のリビングからインナーバルコニーを見たところです。
 正面から右側へと直角に折れる窓の建具は全て壁の中に引き込まれることにより、空間が内と
 外を完全に一体化することができました。
 正面奥のインナーバルコニーは、より屋外へと誘う仕掛けとして設けています。
 壁と天井は生成り色の砂漆喰塗り。吹抜空間を明るく広く見えるように考え、選択しました。



 
b0111173_14154277.jpeg


 先ほどのリビングに隣接する和室です。
 床には畳が敷かれ、正面左側には押入用の戸襖と正面の窓には障子戸が入る予定です。
 壁はリビングと同じ砂漆喰塗りですが、注目していただきたいのは天井の仕上材。
 薩摩葦を全面に貼り、埋込照明をスリット状に設けてみました。
 最近あまり見られなくなった材料ですが、直線や平面で構成される空間を優しくそして柔らかく
 包み込むような印象を与えてくれています。
 自然光が天井に当たってもそのほとんどを吸収してしまう、魅力的な仕上げと言えるでしょう。



 
b0111173_14325994.jpg


b0111173_14332139.jpg


 上の写真は薩摩葦(左から2つめ)をはじめ、他にも使用される和風の面材を見たところです。
 色合いや風合いを吟味した結果、今回は薩摩葦を採用しました。
 下の写真は、その材を拡大したものです。
 よく見ると、色や太さに違いがあるのがお分かりでしょうか。
 それでも遠目で見て水平ラインが保てるよう、職人は材を1本づつ見極めながら選別し、慎重に
 畳1帖大の大きさの面材をつくるのですから、これぞ職人ならではの仕事なのでしょうね。

 和室を設けない家が多くなったと、よく耳にします。
 限られた条件の中では仕方がないことなのかもしれませんが、少し寂しい気持ちになります。
 それは、季節の行事や親戚縁者の宿泊に使用しなくなったから必要ないのかもしれません。
 ただ、日常の暮らしにおいて、ごろっと横になったり、子供と遊んだり、洗濯物をたたんだり、
 冬には炬燵を出して鍋を囲んだり等々、わずかなスペースでもあって欲しいものだと思います。
 そこには、椅子やソファではなく、床に座ることの安心感=視線を下げる場が生まれます。
 床座で得られる限りない魅力を考え直してみるのも、大切なのではないでしょうか。


 

[PR]
by mura-toku | 2018-06-04 15:00 | 建築 | Comments(0)

 現場は、大工工事が終盤に入ってきました。
 今回は、大工による造作家具(現場で製作する仕事)について、ご紹介したいと思います。




 
b0111173_17395820.jpg



 この板は、オークの無垢板で原板の大きさが、巾630mm×長さ3900mm×厚さ75mmありました。
 俗に言う耳付(丸太をスライスして皮の部分まで残す挽き方)で、無垢材であることを示すために
 このままの形状(両端が波打っている)で使用することが多いのですが、今回はデザイン上、中央の
 良質な部分のみを木取りして、仕上げるようにしました。
 白チョークで描いた箇所が使用範囲を示していますが、両端の白太(皮に近い部分は白くて柔らかい)
 と長端部の割れを避けていることが分かります。
 このように、実際の材を目視しながら作り手と決めていく作業も、建築家として大切な仕事なのです。



 
b0111173_18020303.jpeg


 先ほどの板材を加工して仕上がってきたものを、現場で寸法確認しているところです。
 このカウンターはダイニングの収納家具として使うことから、消耗しにくい堅木としました。
 加工前では板が綺麗に削られていないため様子が分かりにくかったのですが、完成品は見事な
 木目が浮き出ていて迫力を感じさせてくれました。
 左手奥の部分は窓台を兼ねているためカウンターが幅広くなっていて、境目には障子の敷居溝
 が掘られています。
 ただし、これをあまり考えずに加工をしてしまうと、板が反ってしまいますので、そのような
 ことにならないよう板の裏側で特殊な仕事をしてもらいました。
 これは、実物をご覧いただく方が分かりやすいので、その機会を楽しみにしていてください。
 



 
b0111173_18120575.jpeg


 もうひとつの材は、最近、住宅や店舗で見かけることが多くなったブラックウォールナットです。
 ただ、先ほどのオークのように1枚の無垢板ではなく、幅の狭い板を貼り合わせた集成版を採用
 することにしました。
 その理由は、使用した部位によるところが大きいかと思います。



 
b0111173_18232441.jpeg


 こちらは、本が大好きな建主のために製作してもらった書棚です。
 背板を除いた全ての材を、このブラックウォールナット集成版にしています。
 この材を採用した理由は、硬くて狂いにくく、強度があることを兼ね備えているからです。
 本の重量だけでも相当なものですが、写真のように床から浮かせているために、箱として固める
 必要がありました。
 独特な雰囲気を持つ材と漆喰壁との調和を、早く見てみたいものです。

 このように、置き家具と違って造作家具は、目的を見据えて適材を選択し、造ることが出来ます。
 もちろん材はピンキリですが、予算に合ったものを建主と選んでいくのも楽しい仕事と言えます。
 「自分たちの暮らしを見つめながら、素敵な材を見つけていく」
 そのためには、設計のプロである水先案内人が必要なのではないでしょうか!
 


[PR]
by mura-toku | 2018-04-06 18:41 | 建築 | Comments(0)

 前回に引き続き、適材適所について考えてみましょう。
 今回は、家の中で気になるWC・洗面・浴室などの水廻りです。



 

b0111173_16442796.jpeg


 まずは、洗面室のPLANを説明します。
 右手正面に洗面カウンター、左手手前に洗濯機を置く、比較的オーソドックスなレイアウトで、
 洗面脱衣室とも呼ばれています。
 洗面カウンターの上の壁は特注サイズの全面ミラーを貼り、さらにその上は電動開閉式の横長
 スリット窓を設けました。
 こんなに窓が小さくても、天井に接する位置に設けることで室内を明るくすることが出来ます。
 側面の壁には、歯磨きやシェーバー等を置くための埋込棚(壁の厚さを利用)を設けました。

 仕上材に目を移しましょう。
 壁・天井には、白木の板を全面貼りしています。
 こうすると高級旅館を希望されているように見えますが、決してそうではありません。
 この板の性能がとても高く、こうした場所に最も適していると思うからです。
 家の中で高湿度になる空間だからこそ、湿度調節が可能で、高い抗菌性を兼ね備えた材を使用
 することが、家を長持ちさせることに繋がるのではないでしょうか。
 ちなみに我が家は15年経ちましたが、今のところカビや腐れなどは発生していません。
 さて、気になるその板は何かと言うと、定番で使用している青森産の天然ひば(無垢)です。
 予算が許せるなら、このように仕上りが美しい床用の一枚板が良いでしょう。



 
b0111173_17143046.jpg


 もちろん、浴室も同じ板を貼りました。
 さすがに、床に接するところまでは貼れませんので、腰の部分(グレーのコンクリート面)は
 石貼り(水に濡れると美しい緑色になる十和田石)としています。
 この石は温泉浴場などでよく見掛けられるもので、滑りにくく足触りの良さが特徴です。
 天井の四角い穴には換気扇、丸い穴には読書のための照明を設置するためのものです。



 
b0111173_17521278.jpeg


 仕上材を選定するにあたり、意見が分かれるのはWCです。
 先に紹介したひば板を貼るほど湿度が高い部屋ではないので、あまり必要とされていません。
 逆に、汚れにくく拭き掃除が容易なものを選ばれるような気がします。
 上の写真は1階のWCですが、腰の部分はメラミン化粧板、壁と天井は和紙貼りにしました。
 右手前には手洗いカウンターを設けたので、蛇口から出る水はねを考慮した高さまでを汚れ
 にくい素材とし、それ以外は風合いを考えたナチュラルな仕上げとしています。

 このように、家の中ではシチュエーションの違いにより、選ぶ仕上が変わります。
 ただ、機能性を重視しすぎると、無機質な冷たい印象になってしまうので、注意が必要です。
 毎日使う水廻りだからこそ安易に考えず、自分たちの暮らし方に合った仕上を選定すべきでしょう。



[PR]
by mura-toku | 2018-04-03 18:28 | 建築 | Comments(0)

 ❝ 浜松・夢双庵 ❞ の玄関が形になってきました。



 
b0111173_16494211.jpeg


 玄関入口から見た感じです。
 手前の天井は低く抑え、奥の天井を上げてみました。
 グレーの穴開きボードの面は砂漆喰塗りになりますので、明るい仕上がりになります。
 つまり、天井の低い部分は壁と同化するため存在感がなくなり、奥の天井に視線が運ばれるよう
 考えました。そこで、まずは奥の天井を見てみましょう。



 
b0111173_16581615.jpeg


 天井板は屋久杉の無垢板、それに取り合う細い木材は吉野杉の赤柾材です。
 最近の住宅ではほとんど見られなくなりましたが、無垢の天井板を貼ってみました。
 うっすらとラインが入っていることと、板と板が重なっているところが無垢の証です。
 写真では判別が付きませんが、とてもいい仕事をしてもらいました。
 なかなか実物をご覧いただける機会が少ないので、完成時にご覧いただきたいと思います。



 
b0111173_17090238.jpg


 靴を脱いで最初に足で踏む材(式台)は、栗を選択しました。
 建主の要望を踏まえながら、材のバランスを見て、小ぶりのナグリを施しています。
 これは塗装前の状態ですが、こちらもいい感じに仕上がりました。
 足に触れた瞬間、心地良さが伝わり、視線の先には屋久杉の天井が広がります。



 
b0111173_17172553.jpg


 もうひとつの注目点は、先ほどの式台と同じ栗材を下足入れの天板に使用していることです。
 流れるようなひとつながりの木目模様は、一目見て無垢であることが分かります。
 最初の玄関全景カットで、左側に写っている腰高のカウンターがこの材です。
 左奥の窓の手前に障子戸を入れ込むため、天板に溝を掘り込みました。


 今回は玄関を紹介しましたが、土足から床へ上がる高さの変化や、限られたスペースゆえの間近で
 見られることに耐えられる設計をしなければなりません。
 それには計算された空間設計はもちろんのこと、使用する材まで気を配りたいものです。
 そして、その選択はひとつの材(今回は栗のナグリ)によるところが大きいと言えます。

 様々な人が出入りする玄関は、設計者にとって最も緊張する場であり、材を見て欲しい場でもある
 ことを付け加えておきたいと思います。国産の栗と屋久杉、吉野杉の選択。必見の価値ありです!



[PR]
by mura-toku | 2018-03-28 17:38 | 建築 | Comments(0)

 ❝ 浜松・夢双庵 ❞ の西面外装工事が完了しました。



 
b0111173_14101474.jpeg


 この西面に採用した外装材は、塗装ガルバリウム鋼板の角波スパンドレルというもので、
 正面から釘やビスを見せずに張ることが出来るため、耐久性に優れています。
 隣家が迫っていることもあり、頻繁にメンテナンスをすることが無いよう、穴あき25年・
 塗膜15年保証と遮熱・耐汚染機能が付いた高耐久製品を採用しました。
 もうひとつの理由は、この面が西面であるということです。
 それは・・・このまま説明を続けてもいいのですが、外装材の話に逸れてしまいそうなので、
 ここから本題に入ります。

 写真中央に見える窓をご覧ください。
 窓の上と左に板材がカバーされていますね。
 もう少し近づいて見てみましょう。



 
b0111173_14380838.jpeg



 やはり、窓の上と左に巾広の板が取り付いています。
 ちなみに、この窓は横軸回転(正確には軸が移動しながら窓の下側から開いていって、窓が
 水平になったら止まる)の滑り出しなので、多くの場合は板が設置されていません。
 コストやデザインによる理由が大きいかと思われますが、果たしてそれでいいのでしょうか?

 家は外観デザインを整えつつ、住まうことに対応しなければ意味がありません。
 さらに言うのなら、あらゆる環境に対応できる窓でありたいと、常々考えています。
 前の写真をご覧いただければお分かりのように、この窓と上の屋根には相当の距離があります。
 2階の窓なので、少し開けたまま外出してしまい、帰宅したら不意の雨が降り込んでいた、と
 いうことも考えられなくはありませんね。そう、答えは雨除け(霧除け)のためでした。

 もうひとつの左側の板は何でしょう?
 それは、西面に答えがあります。
 周囲の状況にもよりますが、何と言っても夏期の西日対策です。
 ご承知のように、夏の西日は緩い角度で北西方向から射し込んできます。
 答えはそれを防ぐためなのですが、実はそれだけではありません。
 浜松特有の季節風(南~南西の風)をこの板で受けとめ、風を室内に導くためです。




 
b0111173_10192182.jpg


 この家は、2013年に竣工した ❝ 磐田・直庵 ❞ です。
 少し分かりにくいかもしれませんが、2階の窓には同じく上には庇が、左には壁が付いています。
 詳細をお知りになりたい方は、こちらをご覧ください。


 



 
b0111173_15242555.jpeg

 
b0111173_15243629.jpeg


 ❝ 浜松・夢双庵 ❞ に取り付いているもうひとつの庇です。
 こちらは縦長の窓で、同じく滑り出しなのですが、縦軸回転(軸が移動しながら窓の手前側から
 開いていって、窓が90度になったら止まる)になります。
 つまり、窓を開ければそれが風を受けとめるため、上の雨除け用庇だけで十分なのです。
 



 
b0111173_15244783.jpg


 この家は、2016年に竣工した ❝ HAMAMATSU・AKANE HOUSE ❞ です。
 同じように、右手の西面2階窓上には庇が付き、窓を開けて風を呼び込んでいます。
 よろしければ、こちらもご覧ください。


 


 日本は今、酷暑・豪雨・極寒などの異常気象に見舞われています。
 こうした状況を乗り切るためには、庇ひとつもおろそかに出来ません。
 想定できるシチュエーションに対応可能な設計を心掛けることは、とても大切です。
 各地の気候を踏まえ、自然に逆らわない家づくりを進めていきたいと思います。


 



 
 

[PR]
by mura-toku | 2018-03-20 15:45 | 建築 | Comments(0)

 ガレージ付き平屋建て住宅 ❝ FUKUROI・FOREST HOUSE ❞ には、大きな軒下があります。


 
b0111173_16143168.jpeg


 南東側からの外観です。
 手前に4本柱が立っている奥のスペースは雨が降り込まず、外で何かをしたい時には役立ちます。
 例えば、こどもと水遊びをしたり、ハンモックを吊るしてぼんやり過ごすことも出来るでしょう。


 


b0111173_16200500.jpeg


 近づいてみると、大きなスペースであることがよく分かります。
 ちなみに、右側のブルーシートのところが窓になり、柱まで1.8mの距離があります。
 完成時には木製のデッキが設けられ、より広く感じられることでしょう。


 


b0111173_16273970.jpeg


 屋内から見たところです。
 シンプルな架構に大きな窓が開けられています。
 この窓はフルオープンの木製建具が嵌められ、室内外が一体になるデザインとしました。
 さらに、その外側には直接出られる木製デッキが連続するので、気持ちいい空間が広がります。

 最近の異常気象による集中豪雨を避けるためにも、大きな軒下を見つめ直してみたいものです。
 家の耐久性は雨の多い日本の気候を踏まえ、屋根の架け方を工夫すべきではないでしょうか?
 もう一度、家を長いスパンで考え、ダメージの少ない設計を心掛けるべきだと思います。



[PR]
by mura-toku | 2018-03-14 16:39 | 建築 | Comments(0)