静岡県浜松市にある村松篤設計事務所の所長のブログです


by mura-toku
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2018年 02月 16日 ( 1 )


 現場では、大工を始め各職方がいつも以上に細心の注意を払いながら、工事を進めています。
 というのは、もう手に入らない稀少材を用いたり、代替品が無いため失敗が許されない仕事
 をお願いしているからです。それは全て建主と建築家の拘りから、選定していったものでした。
 ただ、このような材や仕上げをやみくもに選んだわけではなく、双方が要求される機能に対して
 空間をデザインし、さらにそれを活かすために考え抜いた結果だと思っています。


 
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 ここはプライベートルームですが、正面の壁に向かって勾配天井にしました。
 正面の窓は視線が抜けていくポジションに設けていて、勾配天井はそれを助長してくれています。
 床は針葉樹フローリング、壁は漆喰塗りを予定していますが、天井はあらかじめ白色に塗装した
 檜の無節板を目透かし貼り(板間を透かせて目地を取る貼り方)としています。
 理由は、この部屋は一定の時間だけ音が発生するため、吸音目的でこの仕上を選定しています。
 簡単な方法なら無機質の吸音板もありますが、吸放湿性のある自然素材にこだわりました。



 
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 2階のリビングから繋がる畳の間を眺めたカットです。
 屋根裏まで空間を拡張し、広がりのある吹抜にしてみました。
 勾配天井の最上部には、自然光と通風換気に役立つ電動開閉式の天窓を設けています。
 その下の壁の窪みにはエアコンがセットされ、その左側の開口はロフトへと繋がる展開です。
 これら様々な条件をクリアしようとした結果が、このデザインを生んでいったように思います。
 壁と天井は漆喰塗りで、天井には空間を引き締めるために杉柾材を水平に入れてみました。


 
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 リビングの反対側はバルコニーへ繋がる大開口(緑色の柱カバーから右手の丸柱まで)と、右奥
 のダイニングが見通せます。
 天井をあえて寄棟(傘形状にする)にしたのは、視線の抜けを強調したかったからです。
 壁・天井ともに漆喰塗りにしたことで、より空間は明るく開放的な印象になることでしょう。


 
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 リビングに隣接しているダイニングです。
 正面の大きな窓に向かって勾配天井とし、フランス産の板を貼ってみました。
 2階からの眺めへと視線が吸い込まれるように、天井の角度と高さを慎重に決めています。
 天井材の選定にあたっては床材とのマッチングを考え、色合いと柔らかさを備えたものにしました。

 このように、各空間で要求される機能がデザインを生むきっかけになっている場合があります。
 一概には言えませんが、建築にとって機能(要望、環境、住み心地)はとても大切なものなのです。

 
 

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by mura-toku | 2018-02-16 11:27 | 建築 | Comments(0)