自然換気について考える!
2020年 07月 14日
今年の梅雨は長雨の影響で湿度が下がらず、気分が滅入ってしまいそうですね。
世間では「洗濯物が乾かなくて困っている」「家の中がベタベタしていて不快だ」
といった、家に対する不満の声がよく聞かれます。
例年では、窓を締めてエアコンを掛ければ湿度が下がり、室内は快適になるはず
ですが、今は新型コロナウイルス感染防止のために窓を開けていることと、室内
干しの洗濯物から出される水分が加わることで、湿度は思うように下がりません。
そこで考えたいのは、換気の方法です。
上の写真は、2018年に竣工した「浜松・夢双庵」で、南側からの全景です。
夏期の季節風を積極的に取り入れるため、南面に大きな窓を設けました。
周辺環境を考慮し、日照と眺望を確保するために2階リビングとしています。
正面の右半分は、下の写真で分かるように屋根付きバルコニーとして、雨の日でも
窓を開けて過ごせるように計画しました。
ここで重要なのは、床を防水にせず、簀子にして下から外気を通していることです。
こうすることで、軒下の涼しい風を部屋へ導くことが可能になりました。
上の写真は、2階バルコニーからリビングを見たところです。
正面左上から室内へと光が射し込んでいるところに、開閉式の天窓を設けました。
暖まった空気は上昇する原理を利用して、部屋の一番高い箇所から排気(換気)
することを計画しています。
南から入ってくる大きな風の出口をあえて絞ることで、風速を早めているのです。
下の写真は、家の裏側すなわち北側から見た全景ですが、天窓が見えますね。
もうひとつの手法として紹介するのは、2011年に取り組んだ「びおハウスM」です。
一番上の写真は、北九州市で計画した、びおハウスMの連棟住宅の模型になります。
2棟とも、屋根から飛び出ているのが分かるかと思いますが、それを実際に見たのが
中央の写真で、頂部には天窓を設けています。
下の写真は屋内から見上げたところですが、この部分は煙突状に造っているのです。
これはヒートチムニーと呼ばれていて、煙突効果により室内の熱気が上昇し、より
多くの空気を天窓から排気することが出来るようになります。
現在、このコンセプトハウスをリニューアルしようかと計画中です。
これまで考えてきた原理を整理し、現代の暮らしにあったデザインを模索しています。
機械で制御するシステムではなく、自然の力を利用した住宅を追い求めて・・・。
by mura-toku
| 2020-07-14 17:24
| 建築