借景を活かす!
2019年 01月 10日
2019年がスタートしました。今年もよろしくお願いします。
正月は初詣や旅に出られた方が多いかと思いますが、私は無理をせず家でのんびり過ごしました。
おかげで頭がリフレッシュされ、仕事全開モードで毎日励んでいます。
昨年竣工した " IWATA・SLOW HOUSE " の吹抜空間です。
前回のブログでご紹介した階段の途中から見たカットで、1階の左奥が畳の間、右奥がキッチン、
2階の右が通路、左の障子奥が寝室になっています。
こうして見ると、この吹抜空間を介して各エリアが繋がっているのがよく分かります。
今回は、2階左の障子の奥(寝室)について解説してみたいと思います。
正面左の小さな開口が、先の写真で障子が見えていたところです。
この窓は吹抜を見下ろしたり、1階の暖気を取り入れたりするために設けています。
正面右の大きな窓は自然の光と風を取り込み、布団干しも出来るよう計画しました。
床に座る部屋はあまり天井を高く取らず、窓も極力下げた方がぐっと落ち着きます。
照明は、天井と同化させることで存在感が薄くなり、空間がより広がって見えます。
さて、本題の借景についてお話ししましょう。
この部屋にはもうひとつ、正面右手に見える小さな地窓を設けています。
この窓は、夏の夜の就寝中に床を這うように流れてくる自然の風を導くためではありますが、
実は隣家の緑を拝借するためのものでもありました。
最初のプランを計画する前に念入りに敷地を調査しますが、その時に見つけたご馳走(私はいつも
そう呼んでいます)を見逃さないように配慮しました。
寄って見てみると、こんな感じに窓から景色が広がります。
少しでも部屋の中から緑が見えるのは、気分が良いものですね。
設計という行為は単なる間取りを考えるものでは無く、こうした周辺環境を丹念に読み取りながら
住まい手の要望を超える提案をし、理想のコストを熟考していくことではないかと思っています。
家は大きさ・構造・設備・素材・省エネ・健康等々、様々な点を考慮しなければなりません。
これら全てについて、プロである人間は住まい手に分かるよう丁寧に説明をする義務があります。
今一度、本物の家づくりとは何なのか?考えてみる必要があるのではないでしょうか?
by mura-toku
| 2019-01-10 18:23
| 建築