静岡県袋井市内で工事中だった「FUKUROI・FOREST HOUSE」が完成しました。

前面道路から見上げたところです。
人間の背丈以上の高台に建つということで、平屋建てを選択しました。

道路から進入路を登った先には、への字型の平屋建てが姿を現します。
右手奥が2台分のガレージ、左側が住宅で、雨に濡れずに玄関へとアクセスが可能です。
正面奥に見える森の緑が、訪問客を優しく迎え入れてくれています。

敷地の奥、すなわち南側(森は南にある)から見える全景です。
平屋の特性を活かし、水平ラインを強調したデザインで纏めてみました。
屋根の頂部には、太陽熱利用のソーラーシステムが搭載されています。

森を望みながらアクティブに暮らしを楽しむため、大きなインナーデッキを設けました。
窓から屋根の先端まで約3mもある深い軒のおかげで、夏の強い陽射しとゲリラ豪雨にも耐えうる
第2のリビングとして機能してくれるはずです。
昨今の日本の気候を考えると、木の窓と深い軒はこれまで以上に欠かせないものになってきました。

リビングの木の窓を全開にしたカットです。
部屋の内外が一体となり、自然に外へ出たくなる感じが伝わってきます。
室内・室外ともに無垢の杉床材が広がり、それらを支える骨組みも同種の杉材で構成されています。

リビングの一画には、十字の桟をデザインしたガラス窓が嵌っています。
その脇の壁には大型テレビが置かれる予定で、バランスを考えながら大きさを整えていきました。

リビングからダイニングを見たところです。
先ほどの全開した木の窓の内側には、同じく壁の中に納まる内障子を設けています。
カーテンやスクリーンのようにかさ張らず、かつ断熱性が高い内障子は、とても便利です。

リビングの奥側を見たところです。
平屋建ての良さを活かした勾配天井の入隅部分に、電動開閉式の天窓を設けています。
天窓からの光がリビングの壁に反射するため、部屋の奥側が暗くなることを防いでくれています。

天窓からの光の先端が、ちょうど壁の入隅部になった瞬間を狙ってみました。
おそらく、これから室内に居て、この光の動きを追うことが楽しみになってくるはずです。
天窓は、現代版の日時計の役割をも果たしてくれるのではないでしょうか?

最後のカットは、洗面から浴室を見たところです。
ロケーションの良さを最大限取り込みたいことから、間仕切りも浴室の窓も透明硝子にしました。
覗かれる心配が無さそうなところなら、こうした思い切った選択は有りなのかもしれません。
森に抱かれた広大な敷地に建つ、ガレージ付きの平屋建て。
プライベートデッキでハンモックに揺られながら寛ぐ姿は、誰もが憧れる暮らし。
建築家としてやれるところはここまで。
これからは、住まい手がこの家に命を吹き込んでくれることを願うばかりです。