❝ 浜松・夢双庵 ❞ 適材適所(和室編)!
2018年 06月 04日
❝ 浜松・夢双庵 ❞ の工事が終盤に入ってきました。
大工工事がほぼ完了し、各職方による仕上げが進められています。
まずは、そのワンカットをご紹介!
2階のリビングからインナーバルコニーを見たところです。
正面から右側へと直角に折れる窓の建具は全て壁の中に引き込まれることにより、空間が内と
外を完全に一体化することができました。
正面奥のインナーバルコニーは、より屋外へと誘う仕掛けとして設けています。
壁と天井は生成り色の砂漆喰塗り。吹抜空間を明るく広く見えるように考え、選択しました。
先ほどのリビングに隣接する和室です。
床には畳が敷かれ、正面左側には押入用の戸襖と正面の窓には障子戸が入る予定です。
壁はリビングと同じ砂漆喰塗りですが、注目していただきたいのは天井の仕上材。
薩摩葦を全面に貼り、埋込照明をスリット状に設けてみました。
最近あまり見られなくなった材料ですが、直線や平面で構成される空間を優しくそして柔らかく
包み込むような印象を与えてくれています。
自然光が天井に当たってもそのほとんどを吸収してしまう、魅力的な仕上げと言えるでしょう。
上の写真は薩摩葦(左から2つめ)をはじめ、他にも使用される和風の面材を見たところです。
色合いや風合いを吟味した結果、今回は薩摩葦を採用しました。
下の写真は、その材を拡大したものです。
よく見ると、色や太さに違いがあるのがお分かりでしょうか。
それでも遠目で見て水平ラインが保てるよう、職人は材を1本づつ見極めながら選別し、慎重に
畳1帖大の大きさの面材をつくるのですから、これぞ職人ならではの仕事なのでしょうね。
和室を設けない家が多くなったと、よく耳にします。
限られた条件の中では仕方がないことなのかもしれませんが、少し寂しい気持ちになります。
それは、季節の行事や親戚縁者の宿泊に使用しなくなったから必要ないのかもしれません。
ただ、日常の暮らしにおいて、ごろっと横になったり、子供と遊んだり、洗濯物をたたんだり、
冬には炬燵を出して鍋を囲んだり等々、わずかなスペースでもあって欲しいものだと思います。
そこには、椅子やソファではなく、床に座ることの安心感=視線を下げる場が生まれます。
床座で得られる限りない魅力を考え直してみるのも、大切なのではないでしょうか。
by mura-toku
| 2018-06-04 15:00
| 建築