❝ FUKUROI・FOREST HOUSE ❞ 構造と意匠の融合!
2018年 02月 26日
一般的に2階建て住宅を建てる場合、その多くは1階にリビングを希望されます。
その理由は、夢にまで見た一戸建てだから、土と接する暮らしをしたいのでしょうか?
それとも、リビングと連続するアウターデッキに出て、子供と遊びたいのでしょうか?
どちらも気持ちはよく分かりますが、同時にリビングを天井の高い空間にしたいと思うと
2階が載っている場合は天井の高さや形状に限界があります。
もちろん、2階が載らない位置にリビングを設けるようにすれば問題ありません。
しかしながら、そのほとんどは様々な制約を受けていて、思うようにいかないのが現実です。
そんな時、これらを解決する方法のひとつに、平屋建ての選択があります。
相応の敷地が無ければ難しいのかもしれませんが、平屋建てなら屋根裏まで広がる開放的な
空間をつくることは容易です。
しかも、通常の水平天井ではなく、屋根と連動した勾配天井が空間に豊かさを加えてくれます。
写真手前がリビングになる空間ですが、屋根のラインに沿って天井が貼られていきます。
空間を余すところなく利用した、平屋建てならではの魅力がお分かりいただけるかと思います。
右上の北側屋根には電動開閉式の天窓を設け、自然の光と風を室内に導くよう考えました。
この天窓は、1日を通して安定した光と、雨センサー付き(雨が降ると自動的に窓が閉まる)
なので天候に左右されない常時換気が役立ちます。
空間を構成している水平・垂直・勾配の木材は、全体の意匠を取り纏めながら並行して構造が
成立するよう、見せる材と見せない材を分別し、無理の無いように整えています。
これは、空間を支える梁(柱の上に水平に載る材)の選定をしているところです。
とても地味な作業ですが、いつも大工棟梁と一緒に時間を掛けて行います。
色艶や強度の関係から天龍産の杉無垢材を使用することが多いのですが、木目の表情や節・割れ
の具合を目視しながら、1本1本納得するまで、材を転ばして見せる面を慎重に決めていきます。
材を選定した後は、このように番付を行います。
番付とは、その材がどの位置にくるのかを、予め決められた通り番号で示していくことです。
同時に、長さをカットする位置やどの面を見せるのかを、材に直接描いていきます。
このように、あらゆる段階において、事前の準備を怠らないことがとても大切です。
美しさを追求する設計段階での説明はしにくいのですが、丈夫に造っていることを露骨に見せず、
骨組みを支えている柱や梁の構造材をバランス良く見せることをいつも心掛けています。
往々にして、美しく組み上がった建築は、決して裏切らない結果を導いてくれるものです。
by mura-toku
| 2018-02-26 17:39
| 建築