❝ 浜松・夢双庵 ❞ 屋外の耐久性!
2018年 02月 07日
前回に引き続き、❝ 浜松・夢双庵 ❞ で実践していることを紹介しましょう。
アプローチ側から外観を見上げたところです。
大屋根の下方に板を張っている部分が分かるでしょうか。
何も考えなければ、その下の外壁仕上(現状は下地段階ですが白地に縦の木を張っている部分)
をそのまま上まで繋げてしまうところですが、そうしませんでした。何故でしょうか?
この家の一番の顔(アプローチ正面に見える)になるボリュームがかなり大きく、間延びする
というか、締まらない表情になってしまうからです。
ちなみに下の仕上は漆喰塗りですので、これと対比する質感のある仕上が求められました。
いくつか候補は挙がりましたが、最終的には耐久性も考慮した結果、杉赤柾板を選択しています。
先ほどの写真の左側を回り込むと、南面が見えます。
屋根も耐久性を考えている箇所があるのですが、ここでは正面右側に注目してください。
左側に比べると外壁が少し後退していて、ちょっとした屋外空間をつくっています。
2階の屋内から外(南方向)を見ると、こんな景色が広がります。
ここはリビングになるところですが、正面から右手にクランクしてL字型のフルオープン建具
が嵌り、屋内外が一体になる空間を考えました。
左側奥に細いシルバーカラーの柱が立っているエリアが屋外になり、インナーバルコニーなど
と呼ばれたりしています。では何故、こんなことをしているのでしょうか?
答えは簡単、風雨の影響を極力受けにくい半屋外を設ければ、かなりの頻度でこのスペースを
活用でき、建具をフルオープンにするメリットが生まれるからです。
今度は先ほどの写真の右奥に回って、くるっと90度見返したところです。
このインナーバルコニーは、屋根の下なのでさほど雨に濡れませんが、それでも台風など横殴り
の雨に当たり続ければ、いずれ消耗していくことが考えられます。
そこで耐久性の視点から、この部分だけをスチールで組むことにしました。
全てのスチール材は亜鉛メッキ処理とし、構造木材とは縁を切って納めています。
これに取り付くスノコや手摺は木製ですが、こちらも耐久性の高い材を選択し、メンテナンス
費用の低減を提案しました。
通常は、バルコニーの床を防水仕上にしてしまうことが多いかと思います。
しかし本来であれば、外界の風をスノコ床の隙間から室内へと呼び込むことで通風量が増え、
より快適に過ごすことが出来るのを、知らされていないのではないでしょうか?
クライアントの要望に対し、あらゆるケースを想定しながら複数のメニューを提示できる者が
プロフェッショナルと言えるのだと思います。
by mura-toku
| 2018-02-07 17:52
| 建築