❝ 京都・侘楽庵 ❞ 繋ぐことの大切さ
2018年 02月 02日
前回に引き続き ❝ 京都・侘楽庵 ❞ を通して、「繋ぐ」ことを考えてみたいと思います。
玄関から室内へ入ったすぐのところに、手洗いコーナーを設けました。
よく、子どものために帰宅直後の手洗いを希望されるケースが多いのですが、最近は風邪対策用
としてのリクエストも増えてきています。インフルエンザの流行も起因しているのでしょうか?
写真の左側は2階へ上がる階段が見えます。この関係性を把握しておいて下さい。
先ほど見えていた階段の左脇にWCを設置しました。
WC内で簡易の手洗いは可能ですが、念入りにされたい時は外の手洗いが良いでしょうね。
WC内の右上の窓(硝子嵌めこみ)は階段正面窓からの自然光を導くためのもので、WCの壁が
外に面していない場合には有効に働いてくれます。
人工照明で明るさは保てますが、外の気配を感じ取ることも忘れてはなりません。
階段を折り返す踊り場に、大きな窓を設けました。
その理由は、北側からの自然光(間接光)を導くためですが、写真を見てもお分かりのように、
道路を隔てた正面の植栽(隣家の庭)を取り入れたいためでもあります。
階段は上下階を繋ぐ重要な装置ですが、このように外と内を繋ぐ役割も考えたいものです。
上の2枚の写真は、2階のWCを写したものです。
1階と同じように、外側に面した窓をあえて設けていません。
右側に見える木の窓は階段との間仕切り壁に設けたもので、こちらを選択しました。
正面に窓を設けてしまうと気恥ずかしく思えるものですが、視線を少し斜めに振ることで、外の
景色を気兼ねなく拝借することが出来、何だか得した気分になりますね。
2階寝室の障子戸とスクリーンの開閉を写したものです。
上が就寝時、下は起床時といったイメージでしょうか。
正面の窓の向うにはバルコニーがあり、洗濯物や布団を干すことが可能になっています。
右手の障子戸はリビングの吹抜と繋がっていて、開けた状態でも木格子の手摺を設けているので、
夏の暑いシーズンには安心して休むことが出来ます。
このように、限られた空間の中で「繋ぐ」ことを意識して設計に取り組むことは、かなり重要な
ウェイトを占めるのではないでしょうか。
内と外、場と場、上と下といった視覚的な仕掛けはもちろん、自然や人間との関係性をも考えて
設計に向き合うことの大切さを問うていきたいと思います。
by mura-toku
| 2018-02-02 10:39
| 建築