“京都・侘楽庵” 床柱選定!
2015年 04月 27日
"京都・侘楽庵" の茶室に用いる床柱選定のために訪れた老舗銘木店。
工事に携わっている工務店社長の紹介ではあるが、恐る恐る店先へ。
如何にも老舗といった構えに一同、緊張感が漂う。
建主ご家族と工務店社長を含め、皆の顔が引きつっているのがよく分かる。
それもそのはず、この世界は一流寿司店に行って好みのものを注文し、後で
お勘定という流れにやや似たものがあるからだ。
店主に図面を見せ、設計意図を説明してから見繕っていただいたものがこちら。
一目見て、やはり老舗の店主は違う!
樹種の豊富さはさることながら、こちらの意図を汲み取った選定には脱帽である。
この段階で何がいいか、皆さんの意見を伺おうと思っていたのだが、まずは私の
考えを聞きたいという。
「私はもう決まっています。これしかありません。」 と述べた後、指をさした。
そうしたら間髪入れずに建主の奥様が、「私もそれが良い!」 と。
息が合うというか、好みが一緒というのは何とも気持ちが良い。
一応、数本の候補を絞っていき、最終的に "椿の曲り" に決定した。
この柱は、私が当初描いていたものに一番近いものだったのだが、恐らく店主は私たち
(というか私の眼力) を試したかったのだろうと、想像してしまった。
(ちなみに、予想に反して大変お買い得な品物だった)
久しぶりの真剣勝負に、心地いい疲労を感じた。
今の時代に、こんな幸せな仕事をさせていただいた建主並びに工務店には、ただただ
感謝の気持ちを申し上げたい。
無味乾燥な社会だからこそ、直接顔を合わせて物を見る大切さを改めて学んだ気がする。
次回は、完成の姿を紹介したいと思う。
by mura-toku
| 2015-04-27 10:51
| 建築