『島田・茶庵』 の杉材!
2011年 05月 30日
例年より早い梅雨入りに加え、昨日までは台風の影響で連日の雨、雨、雨。
今日は午前中から晴れ間が出てきたと思ったら、今度は湿度が急上昇。
梅雨らしい蒸し暑さに、先が思いやられるような気がします。
さて 『島田・茶庵』 の現場は、こんな中でも大工工事が着々と進んでいます。
今回は、主に杉の材料にスポットを当ててお話をしてみましょう。

これは、家の南側の外天井 (専門用語では軒天といいます) を見上げたもの
ですが、杉赤材 (杉丸太の中心部=赤身のみで作られた無垢板材) で揃えて
みました。赤身材は虫を寄せ付けにくく、腐りにくい特徴を持っています。
静岡県は全般的に風雨が強い地域ですので、天井と言えども外部にはこうした
材を用いた方が望ましいといえるではないでしょうか。
もちろん、この屋根を支える柱 (写真では3本見えています) も赤身材です。

先ほどの写真の一番奥に建っている柱を、拡大してみました。
芯持ち (柱の中央付近に丸太の芯がある) の杉赤柱で、申し分ありません。

室内の化粧梁 (家が完成した段階で、室内に見える梁) を見上げた所です。
どちらの梁も杉材ですが、直交している上の材は赤身と白太の部分が鮮明に
分かれていて、明らかに丸太から木取りした芯持ち材であることが分かります。
ここは床荷重を受けることが大切なので、赤身のみでなくても問題ありません。

これは、フローリングに使用する杉の無垢板材です。
何気なく積まれているようにしか見えませんが、実は節の出方や木目の表情に
よって板を選別しています。

材の裏を見ると、このように部屋名が記入されていました。

写真がピンボケで見えにくいかと思いますが、床材の割付をしている図面です。
この部屋はここの位置から張り始めるとか、ここで余った材はここへ宛がうとか
を、事前に図面を描いてルールを決めておくわけです。
材の良し悪しにもよりますが、こうすることで材の数量が正確に把握でき、同時に
材のロスも軽減することが可能になるでしょう。

部屋の張り始めは慎重に行っていきます。
とくに、部屋通しが繋がって大きく使う空間では、フローリングのジョイントを通さ
なくてはいけませんので、注意が必要ですね。

昨年竣工した 『現代民家・爽』 ですが、この時も予め材の仕分けを行ない、良材
をこの広間に揃えてみました。
杉赤のフローリングは深みのあるいい表情をしていて、使い込むほどに美しさを
増していく、人肌に馴染む材といえるでしょう。
by mura-toku
| 2011-05-30 14:56
| 建築