開口部の在り方を考える!
2011年 02月 14日

先月竣工した 「大津・洒落庵」 の外観です。
よく見ると、外壁に様々な窓が取り付いていますね。
横に動く引き違い窓、外へ突き出す滑り出し窓、木格子が付いている窓等々、開口部には
その目的に応じて動くタイプが違うものが用意されています。
設計をする際には、それらの窓をどの位置にどういう高さで、またどのような大きさかを考え
決めていきますので、外観を見ると窓が一様でないのがお分かりいただけるかと思います。

こちらは、この家の一部屋を写したものです。
地窓 (床に接するように設けた窓で、通常外へは出られない窓のこと) が二面に付いています。
左は庭を眺めるための窓、右は風を導くための窓と、目的はそれぞれあるわけですが、実はこの家
左の窓は南面に取り付いています。ではなぜ、こんなに小さい窓に決めたのか?
光は十分なのか、外へは出られなくても大丈夫なのかといったことが、気になりませんか?
答えは、何の問題もありません。その理由は、正面に隣の家が迫っていて景色が優れないことや、
外へ出られる掃き出し窓が別に用意できていて光も十分入ることが予測されたからです。
何も南の窓だからといって、大きいものを付ければいいというわけではないんですよね。

地窓の上には、間接照明を設えました。わずか3畳の小間ですから、天井に既製の照明器具を
取り付けるなんてことは、してはいけませんね。
塗り壁を反射した光は部屋を広く見せる効果があり、心も落ち着く空間に仕上がりました。

少し左へ目を移すと、掃き出し窓の内障子が見えてきます。
地窓との対比、光の入り方・照らし方、仕上の素材感がよく分かります。

掃き出し窓から屋外木製テラスへと繋がる様子は、日本建築の縁を連想させます。
テラスと同じ大きさで設けてある2階のバルコニーも、この空間に溶け込んで広がりを感じさせて
くれていますね。
いつの間にか日本の家は性能を追求するあまり、数値の良し悪し (たとえば断熱性の高い家は
数値が高いので良い家という考え方) だけで判断しがちになってはいないでしょうか?
毎日家族がストレスのない暮らしをするためには、こうした性能だけではない、暮らしの用に耐え
うる耐用性も大切な要素ではないかと思うのですが・・・。
by mura-toku
| 2011-02-14 11:33
| 建築