私の原点!
2011年 01月 06日
2011年、あけましておめでとうございます!
本日1月6日が仕事始めとなりますが、今年もよろしくご愛読下さい。
新年1本目のブログは何にしようかと、正直迷いました。
皆さんは今年の抱負とか、仕事に対する意気込みとかを述べられているようですが、
私は恥ずかいことを承知のうえで 『私の原点』 をお話したいと思います。
以下は、昨年のJIA(社)日本建築家協会東海支部の機関誌に掲載したものです。
大変つまらなくかつ拙い文章ですが、よろしかったらご一読下さい。
私の原点
学生の時、自由設計の課題に『ホテル』を選択した。
何から手をつけていいのか分からない私は、担当の先生から全体のゾーニングの
考え方や諸室のバランス・ボリューム等について、細かな指導を受けた。
忘れないうちに設計に取りかかるものの、思うようにまとまらない。
私自身が未熟であることが最大の理由であるのだが、もがいているうちにあるひとつの
ことを理解していないことに気づいた。それは、客室であった。
本来、最も重要視するべき客室をないがしろにしていたのである。
適切な部屋の大きさ、天井の高さ、窓の位置、家具の配置、照明計画等々考えなければ
ならないことは山ほどある。
すぐさま書店へと足を運び、慣れない専門書籍を開いてみるものの、これだというものが
中々見つからない。
諦めかけていたその時、1冊の本に目が留まった。
今でも書棚の片隅に置いてある『新建築詳細図集―ホテル編』(新建築社刊)である。
沢山の実例が紹介されているなかで、何となく気持ちよさそうに思える客室が見つかった。
決して広いスペースではないが、寸法に無駄が無く、機能的にとてもよくまとまっていた。
客室の写真もその雰囲気をよく伝えていた。
ベッドルームなのに障子や襖が設けられているのも、私には新鮮に映ったのかもしれない。
いつの日か、こんな素敵なホテルに宿泊できたらいいなとも思った。
設計者の名前は、恥ずかしながら後に知ることになる。建築家・吉村順三氏。
私が社会に出てから最初に夢中になり、今でも敬愛する建築家のひとりである。
大好きな吉村さんと学生のときに触れ合っていたとは、偶然にしては鳥肌が立つほどの
衝撃を覚えた。古都を訪れるたびに、こうした私の原点を思い出す。
昨年の秋、久しぶりに鴨川沿いを歩きました。今でも変わらぬ姿がそこにはありました。
またゆっくりと泊まりながら、思い出に耽ってみたいと思います。
by mura-toku
| 2011-01-06 11:53
| 建築