大切な場所!
2010年 06月 04日
今でも時々思い出すことがある。
幼少の頃、両親に連れられてよく行った、父の実家だ。
100年以上前に建てられた古い民家だが、茅葺屋根がとても印象的だった。
大地に根付いているように見えるその構えは、子供心に安心感を覚えた。
深い軒が影をつくり、訪れる人をやさしく迎え入れる。
入口の大きな板戸を開けると家の奥まで広い土間が続いていて、天井が高い。
夏の間はどの部屋も建具を開放するため、自然の風が吹き抜けていく。
夜も窓は全開で、蚊帳を吊って寝る生活はとても快適だった。
だが、今の時代はどうか?
家の防犯にはじまり、性能を確保した魔法瓶のようなつくり、地震に強い工法、
効率だけを重視した安価な家、屋根の上には太陽光発電等々、挙げればきりはない。
決してこれらを批判するわけではないが、こういうことだけにシフトさえすれば、
いい家になるのだろうか?
私はそうは思わない。
昔の記憶にあるような、自然の光と風を意識した住まい。
外界と遮断するのではなく、呼応しながら快適性を追及する住まい。
空間に流れがあり、どこにいても心地良さが実感できる住まい。
決して昔に戻ろうということではない。
現代の技術を駆使しながら、少しでもこうしたことが実現できればと日々格闘している。
by mura-toku
| 2010-06-04 16:20
| 建築