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静岡県浜松市にある村松篤設計事務所の所長のブログです


by mura-toku
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 8月22日~23日にかけて、村篤設計塾2019の2回目が浜松で行われました。

 今回は、私の地元ということで、これまでに手掛けた新旧の仕事を数多く見ていただくことと、

 当日発表した課題をその日のうちに纏め上げる即日設計をしていただくことに重点を置きました。

 あまりにもハードな内容ゆえ、参加者は少ないかなと思ったのですが、「村松さんが設計した家

 を体感したい」「住まい手からの生の声を聴いてみたい」「短時間で纏める設計を身に付けたい」

 という声が寄せられ、全国から沢山の塾生が集まることになりました。



 
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 最初に見学いただいたのは、36年前に竣工した
 です。

 私が、社会に出て間もない頃に設計した原点ともいえる住宅ですが、塾生たちは隅々まで興味深く

 見続けていました。


 

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 次に向かったのは、11年前に竣工した
 です。

 地元の天竜材をふんだんに用いた住宅は、「住み慣れた場所での夫婦二人の生活を守るだけでなく、

 昔からの近所付き合い、背景となる山並み景観との調和など、地域との関係を大切にした住まいづ

 くり」が高く評価され、第21回静岡県住まいの文化賞最優秀賞を受賞しています。

 ここでも、塾生たちは空間を堪能しながら、一方でディテールに目を凝らしていました。



 
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 見学後は、軒の深いデッキ下で記念撮影。35度の猛暑の中でしたが、室内は快適な環境でした。




 
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 次は「浜松・山東庵」で用いられた天竜材を見るために、近くの製材工場へ向かいました。

 塾生たちが真剣に聞き入っている先には・・・




 
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 村篤設計塾の事務局を務めてもらっている、鈴三材木店の加藤氏がいました。

 天竜材の特長やどの部位に用いられているのかなど、具体的に分かりやすく解説していただきました。



 
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 1日目の最後は、鈴三材木店の会議室をお借りし、即日設計に突入。

 実在する土地に住まい手からの具体的な要望を提示し、それを3時間でプランを纏めるという大変

 難しいことにチャレンジしてくれました。

 暑さと疲労が残っているにもかかわらず、真剣な眼差しで机に向かう姿は近寄りがたい雰囲気が漂っ

 ていましたが、私とスタッフはマンツーマンでプランニングの指導に当たっていきました。

 はたして、翌朝からの発表に間に合ったのか?

 

 

 

# by mura-toku | 2019-08-29 11:14 | イベント | Comments(0)

 前回に引き続き、2日目の模様をお伝えしたいと思います。




 
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 まず初めに向かった先は、上野公園内に建つ東京文化会館です。

 JR上野駅公園口から見える建物で、日本を代表する音楽ホールのひとつに数えられています。

 ただし、今回はそのホールを見るのではなく、ある場所を見るために入らせていただきました。

 しかも、特別に開館前からの入場とあって、一同興奮を隠しきれません。




 
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 我々以外は誰もいないエントランスホール。

 私も何回かここを訪れたことがありますが、こんなにも静かで幻想的な空間は初めてです。

 重厚な外観からは想像できないほど、内からは硝子越しに公園の緑が目に飛び込んでくる明るい

 空間に、新たな感動を覚えました。




 
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 そして、目的地に到着。

 それは、屋上でした。

 普段入ることが出来ないこの場所からは、あるものが見えるのです。




 
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 それは、遠くにそびえ立つ東京スカイツリー?ではなく・・・




 
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 東京文化会館を設計した前川國男氏の師匠であるル・コルビュジエ設計による国立西洋美術館が

 綺麗に正面に見えるのです。

 道路からだと屋上に飛び出たハイサイドライトが見えませんが、このレベルだと全景がよく分かり、

 コルビュジエが描いていた全体計画の一端を知ることが出来ました。




 
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 次に向かったのは、国立西洋美術館です。

 これを語り出すと長くなりますので、当日開催されていた「ル・コルビュジエ展」を含め、この

 模様は改めてご報告させていただきたいと思います。




 
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 そして、この設計塾のメインイベントである講義会場へ向かいました。

 そこは、池袋駅から徒歩10分の位置にある自由学園明日館です。

 フランク・ロイド・ライトによる設計で、その教室だった部屋をお借りして行いました。

 余談ですが、すぐ近くにはNHKの朝ドラのロケ地になっている婦人乃友社社屋が建っていて、

 こちらはライトを師事した遠藤新氏の子である遠藤楽氏が設計をされています。


 事前に配布した設計課題について、先に私が解き方を伝えた後、各塾生がプランの説明を皆の前で

 発表し、それについて私が講評するという順番で進めていきました。

 同じ条件でも、十人十色のプランになるのが設計の面白いところ。

 塾生たちは自分のプランだけでなく、皆のプランに真剣に聞き入っていました。




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 最後は、明日館の前で恒例の記念撮影。

 充実した2日間のプログラムをすべて終了し、家路へと向かったのでありました。



 なお、好評につき、2回目以降の追加募集を受け付けています。

 詳細は、ひとつ前のブログをご覧いただければと思います。





# by mura-toku | 2019-07-05 18:11 | 建築 | Comments(0)
 
 久しぶりの投稿です。

 というのは、毎年この時期になると、恒例の設計塾の準備に追われるからなのですが、今年で5年目を

 迎える今回は、初の東京開催ということもあり、盛り沢山の内容になりました。

 まずは、初日の模様をご紹介いたしましょう。



 
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 都内の某駅に集合し、真っ先に向かったのは、今から60年以上前に建てられた個人の住宅です。

 私邸ということもあり、詳細内容がお伝えできないのは残念ですが、オーナーと管理団体のご好意で

 今回は特別に見学をさせていただくことが出来ました。

 塾生たちは五感を働かせて昭和の名住宅を解き明かそうと、真剣に向き合っている姿が印象的でした。



 
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 さらにもうひとつ、場所を移動して訪れたのが、40年以上前に建てられた建築家の自邸です。

 こちらも詳細はお伝えできないのですが、全体計画から詳細に至るまでこだわりぬいた、建築家の

 手腕を体感することが出来ました。

 

 
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 ふたつの私邸を見学し、次に向かったのは設計講義の会場です。

 初日の最後は、私の履歴を含む特別講義で「設計と真剣に向き合う」について話をしました。

 初めて設計に取り組む方には私が考える設計のイロハを、熟練の方には建築家の思考を伝えることが

 出来たのではないかと思います。



 
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 講義の会場と宿泊先に選んだのは、都内にある天然温泉浴場付きの水月ホテル鴎外荘です。

 上野から歩いて移動できる場所に、閑静な安らぎの宿があるのは、とても落ち着きました。

 ホテルの敷地内には森鴎外の居宅が残されていて、こちらも必見です。



 
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 というわけで、中身の濃い初日が終了しました。

 2日目の模様は、追ってご紹介したいと思います。

 参加された塾生からは「こんなに充実している塾なら人に紹介したい」とか、「次回からの参加は

 出来ないのか」といった声が聞かれたため、事務局と相談し、追加募集案内をすることにしました。

 次回は、8月22日・23日の2日間、私の地元・浜松での開催になります。

 私が35年前に設計した住宅から最新作まで、計5棟を特別に見学していただくことにしました。

 もちろん、座学や即日設計の際のマンツーマン指導、課題発表&講評も行います。

 今回だけは参加を検討したいと思った方は、上記宛または私までご連絡をいただければと思います。

 皆様のご参加をお待ちしております。

 



# by mura-toku | 2019-05-28 11:30 | イベント | Comments(0)

 先日、昨年に竣工した " FUKUROI・FOREST HOUSE " を訪問しました。



 
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 あいにく霙まじりの肌寒い天候でしたが、玄関前の植栽が潤いを与えてくれていました。




 
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 すっかり新居に馴染んだ住まい方が、とても印象的でした。

 リビングの大開口からは、木のデッキ越しに芝庭と森の緑を眺めることが出来ました。

 今回訪問した理由は、今月末に開催される「町の工務店ネット全国総会 in 遠州」で見学をさせて

 いただくにあたり、注意点などを住まい手と打合せする必要があったからです。

 事務局からは、大型バスで100名を超える会員の皆様が見学に来られると聞いていたので、詳細に

 わたって検討をさせて頂いたというわけです。

 その総会の案内は、こちらになります。



 
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 今回の総会は、私の地元開催ということもあり、二軒の住宅見学と施工を共にした水﨑建築さん

 との発表をさせていただくことになりました。

 もう一軒の住宅は、こちらも昨年に引渡ししたばかりの " 浜松・夢双庵 " です。

 こちらは、特別に全紙を用いて写真と解説を添えていただきました。

 参加されるには会員限定になっているようですが、紹介等があればオブザーバーで受付をされて

 いると伺っていますので、ご興味のある方はお問い合わせください。



# by mura-toku | 2019-02-15 18:12 | 建築 | Comments(0)

畳の間について考える!


 私が幼少の頃は、四畳半の茶の間が暮らしの中心にありました。

 小さな卓袱台を家族が囲み、食事をしたりテレビを観たりしながら過ごしていたものです。

 寝るときは卓袱台を片付けてから布団を敷き、家族が重なるように寝ていたことを思い出します。

 それが昨今の住宅では、フローリングの床が主流となり、畳はあっても一室もしくは部屋の隅に

 敷かれる存在になってきました。

 今回は、住まいの中で需要が少なくなっている畳の間について、少し考えてみたいと思います。



 
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 昨年竣工した " IWATA・SLOW HOUSE " のリビングですが、大きな吹抜け空間にしました。

 冬は南面に設けた大開口部から自然光を部屋の奥まで射し込むようにしつつ、夏は深い軒により

 日射を遮ることで、一年を通して快適に過ごすことが出来るようになっています。

 床は天竜杉の無垢フローリング、壁と天井は砂漆喰塗りにしていることも、仕上そのものの蓄熱

 性を働かせることで、室温を安定させてくれる要因になっています。

 このリビングを介して、1・2階の各部屋へと空間が繋がるように計画をしていますが、写真左

 奥の黄色い襖の向う側に畳の間があります。



 
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 襖を少し開けると、畳の間が広がります。

 床に畳を敷き詰めるだけで静謐な空間になるのは、何故なのでしょう。

 そこへ一歩足を踏み入れた瞬間に空気がピンと張り詰め、少し背筋が伸びる感覚になります。

 日本人であれば当然のことながら履いているスリッパを脱ぎ、そっと部屋に入るように思わずして

 しまうのは、おそらく畳の間が特別な空間であると認識しているからでしょう。

 (ちなみに、私が設計する多くの家では床が杉・松の針葉樹なのでスリッパは履きませんが・・・)



 設計をする上で、ここは特別な部屋の入口だよと、あえて示したい時に建具のデザインや色を変え
 
 たりすることがよくあります。

 この家は、全体的に素朴な民家をイメージしていたので、襖紙を日本の伝統色である唐子色にし、

 小鳥を模したデザインの可愛い引手を選択してみました。



 
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 日々の暮らしの中で、毎日見るだろうと思うところに、この引手を付けようを考えていました。

 どんなに疲れていても、見た瞬間に気が緩み、笑みを浮かべてしまう力があると思ったからです。

 決して安価なものではありませんが、手が触れたとき、精巧な作りと質感に驚くことでしょう。

 それは、今では入手不可能な真鍮製の黒漆仕上の逸品であることを付け加えておきます。



 
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 畳の間からリビングへの襖を開けて、天井の照明を灯してみたところです。

 吸放湿性と弾力性を兼ね備えた上に足触りが良い畳という素材は、日本の気候や暮らしにおいて

 適応できるもののひとつであり、またその艶と匂いは他に変えられない魅力が潜んでいます。

 正面の窓から、和紙を通して柔らかく射し込む自然光が床に反射する様は、畳表の縦糸と横糸を

 織りなすことで生まれる陰翳が空間の質をつくり出しているからにほかありません。

 かつては、蝋燭の灯りで畳や襖を反射させて夜の暮らしを営んでいたように、畳の間には床置き

 のスタンド照明が似合うのかもしれません。


 
 左側に見える襖の裏面はリビング側を同じ和紙を貼っていますが、引手は木製にしました。

 理由は普段使いが良いことと、部屋の雰囲気を考え、手に当たる感触を重視したからです。



 
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 入口の襖を閉めてみるとお分かりにように、引手が壁のスイッチと同じ高さにあります。

 これも拘りのひとつですが、同じ高さにしておけば暗がりでも引手の近くに手探りさえすれば、

 すぐに照明のスイッチが見つかるからです。

 座って使う畳の間なので、天井の高さを極力抑え、全体的に重心が低くなるよう目に見える全て

 のものに、気を配りたいと思っています。

 このさりげない縦長の引手ですが、こちらも国産の桑で作られた手触りが良いものです。

 見た目だけでなく、どんなに大きな手の大人でも手掛かりが良い優れたデザインなのです。



 畳の間は、日本人が忘れようとしている感性を刺激してくれる場だと思っています。

 い草の香りに包まれながら、和紙を通して柔らかい光に安らぎを感じさせてくれる空間。

 高機能を持つ畳だからこそ、見直してみる必要があるのではないでしょうか。




 
 

# by mura-toku | 2019-01-21 11:48 | 建築 | Comments(0)