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静岡県浜松市にある村松篤設計事務所の所長のブログです


by mura-toku
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大切な場所!


 今でも時々思い出すことがある。

 幼少の頃、両親に連れられてよく行った、父の実家だ。

 100年以上前に建てられた古い民家だが、茅葺屋根がとても印象的だった。

 大地に根付いているように見えるその構えは、子供心に安心感を覚えた。

 深い軒が影をつくり、訪れる人をやさしく迎え入れる。

 入口の大きな板戸を開けると家の奥まで広い土間が続いていて、天井が高い。

 夏の間はどの部屋も建具を開放するため、自然の風が吹き抜けていく。

 夜も窓は全開で、蚊帳を吊って寝る生活はとても快適だった。


 
 だが、今の時代はどうか?

 家の防犯にはじまり、性能を確保した魔法瓶のようなつくり、地震に強い工法、

 効率だけを重視した安価な家、屋根の上には太陽光発電等々、挙げればきりはない。

 決してこれらを批判するわけではないが、こういうことだけにシフトさえすれば、

 いい家になるのだろうか?



 
大切な場所!_b0111173_16192227.jpg


 私はそうは思わない。

 昔の記憶にあるような、自然の光と風を意識した住まい。

 外界と遮断するのではなく、呼応しながら快適性を追及する住まい。

 空間に流れがあり、どこにいても心地良さが実感できる住まい。

 決して昔に戻ろうということではない。

 現代の技術を駆使しながら、少しでもこうしたことが実現できればと日々格闘している。

 
 
# by mura-toku | 2010-06-04 16:20 | 建築

デッキの効用!


 家を建てたいと思った時、皆さんは何を要望されますか?

 大人と子供、男と女でそれぞれ違うのは当然ですが、私の事務所に訪ねて来られる方の

 人気No.1は、なんと木のデッキなんです。

 木のデッキといっても、昔の日本家屋にあるような濡縁ではなく、何かその場で寛いだり、

 工作をしたり、日常の家事をされたりするための、広いスペースを希望されますね。


 
デッキの効用!_b0111173_1131351.jpg


 この場合、私なりに気遣いをしているのが、屋根の大きさ (専門的には軒の出といいます)

 でしょうか。木のデッキを屋根でどこまで覆うか、反対にどこを晒すかは、この屋根との

 バランスにかかっています。当然ながら天井の高さはいくつにするか、室内へ続く窓との

 関係はどう考えるかといったことも、並行して検討していくことになるわけです。


 もう少し掘り下げてみると、日本のように高温多湿の気候風土には、家の内と外とを繋ぐ

 軒下空間 (屋内的屋外空間とでも言いましょうか) が必要不可欠だと思うのです。

 これは木のデッキに限らず、玄関前の庇であったり、2階バルコニー上の屋根であったり

 1歩外へ出た場の設えは、すべて同じように考えるべきなのではないでしょうか?

 時代が変化していく中で、時間や気持ちにゆとりが取れるときこそ、日常の生活を見つめ

 なおすいい機会だと思うのですが・・・。


 
デッキの効用!_b0111173_11573444.jpg


 ここにも、何を思い耽っているのか?

 住人ではないM氏が、すっかり寛いでいるようです。




 

 
# by mura-toku | 2010-06-01 12:02 | 建築

建築家・前川國男の自邸


 ちょうど今から2年前、仕事仲間のM氏と東京ウォッチングに出掛けました。

 それは梅雨入り前の爽やかな季節、外を歩いていても気持ちよかったことを思い出します。

 1番の目的は、小金井市にある 『江戸東京たてもの園』 を訪れること。

 公式HPによると、1993年(平成5年)3月28日に開園した野外博物館で、都立小金井公園

 の中に位置し、敷地面積は約7ヘクタール、園内には江戸時代から昭和初期までの、27棟

 の復元建造物が建ち並んでいるとのことで、現地保存が不可能な文化的価値の高い歴史的

 建造物を移築し、復元・保存・展示するとともに、貴重な文化遺産として次代に継承することを

 目指していると書かれています。

 私たちは、この中でお目当ての建築家・前川國男の自邸に向かいました。


 
建築家・前川國男の自邸_b0111173_17215455.jpg


 主庭から見る外観は、豪快なプロポーションの大屋根が特徴的で、いかにも前川さんらしい

 骨太で思い切りのいいデザインがとても光っています。

 1942年(昭和17年)の戦時下に建てられたと印されていますが、当時としてはとても斬新

 だったのではないでしょうか。

 
 
建築家・前川國男の自邸_b0111173_17323093.jpg


 控えめな玄関から入り、広間の入口(大きな回転ドア)を開けた瞬間に飛び込んでくる空間

 が、この写真です。(うまく伝わらないのが、とても残念)

 早い時間にも関わらず、すでに数人の来館者が熱心に見学をしていました。

 それぞれ見るポイントが違うのは当然なのですが、一般の方が前川さんのことを知っている

 とは・・・。(さすがに、これが東京なのでしょうか?)


 私はこの空間を体にしみ込ませようと、静かに見学をしていたのですが、同行したM氏は

 食卓のディテールが気になるのか、しつこく裏側まで覗き込んでいました。

 「これは面白い!今度、挑戦してみよう。」 と、少し興奮気味のM氏の眼が輝いているでは

 ありませんか。

 そして、ぽつりともう一言 「やっぱり、俺には東京が合うなあ~」?


 
# by mura-toku | 2010-05-27 17:53 | 建築

分かりましたか?


 前回のブログで紹介した、謎の建物をもう少し覗いて見ましょう。


 
分かりましたか?_b0111173_1865577.jpg


 中の天井は傘状になっていて、木の梁が表わしになっているようです。

 面の仕上は左官のようで、照明や丸窓の配置も面白い。


 
分かりましたか?_b0111173_1893256.jpg


 不整形な曲面天井の上には、きつねやふくろう、鳥の姿も見えますね。

 実はこれ、愛知県にあるケーキ屋さんでした。(現場へ行く途中で見つけました)

 建物だけでなく商品構成もユニークで、味も申し分ありません。

 近くを通る機会がありましたら、寄ってみてください。おすすめです!
# by mura-toku | 2010-05-26 18:16 | 建築

これは何?


 
これは何?_b0111173_1753330.jpg


 皆さんに質問です。一体、これは何でしょう?


 おとぎの国からきた〇〇〇。

 いや、ムーミンの館だ。

 それはないでしょう。きっと、おもちゃ屋さんじゃないの?

 
 それでは、もう少し近づいて見てみましょう。


 
これは何?_b0111173_1814191.jpg
 

 大木をくり抜いた先が、入口でしょうか?

 木の上には、リスやフクロウ、猫たちがいるようです。

 屋根は天然石で葺かれ、塗り壁仕上げの所々に不整形の窓が穿っていて、面白いですね。

 何やら右手には 『営業中』 のサイン。

 よ~く見ると、その向こうには 『クリム』 と描かれた看板が吊り下がっているようです。

 皆さん、分かりましたか?




 
# by mura-toku | 2010-05-20 18:15 | 建築