静岡県浜松市にある村松篤設計事務所の所長のブログです


by mura-toku
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<   2011年 04月 ( 10 )   > この月の画像一覧


 2世帯住宅を計画する場合、考えなければならない点が数多く挙げられます。

 中でも代表的な点は、両世帯の生活スタイルやリズム、好みや価値観の違い

 を、各人がどう折り合いをつけていくかということです。

 同じ一つ屋根の下で生活する訳ですから、外観デザインから内観デザインに

 至るまで、ある程度統一感を持たせた協調性のあるものが望ましいでしょう。

 かといって、たとえば仕上げやその色までを同じにする必要はありません。

 よく用いる方法としては、上下階を結ぶ階段の途中で自然にテイストが切り

 替わるように、設計を練り上げていくことです。



 
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 2階へと誘う階段は、最も神経を使う部分です。

 階段1段の奥行と高さ寸法、足に吸い付くような材質感、触ってみたいと思う

 ような手摺デザイン等々、これらがすべてかみ合った時、手摺を持たなくても

 昇降が楽に出来る階段が出来上がります。是非、体感をお勧めします。



 
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 この家は、階段の踊り場の向こう側にもうひとつ特別な場が用意されています。

 2世帯住宅に住む男達は、家の中で自分の居場所を見つけられないでいます。

 とくに子世帯のご主人は、親世帯と相方の間に立ち、双方を立てながら調整を

 図らなければなりません。会社でのストレスも、相当なものがあることでしょう。

 どんなに小さくても、どんなに狭くても、〝男の居場所〟を確保すべきと考え、

 階段の途中に1畳の個室を設けてみました。



 
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 実はこの居場所、床が2段構成になっていて、天井が高く、自然光に包まれる

 最高の空間に仕上がりました。しかも床は畳で、ごろ寝することも出来るんです。

 読書するも良し、工作するも良し、ぼうっと昼寝するも良し、何とも羨ましい!



 
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 この空間全体をカメラに納めるのが難しいくらい、天井が高く魅力に溢れています。

 しかもこの部屋の入口は腰を屈めて入る、茶室のにじり口のような設えですから、

 ここから向こうは自分の世界だと思わせる効果があるはずです。



 
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 踊り場で折り返したら、2階への空間が広がっていきます。

 1階とはわずかな部分でテイストを変えて、カジュアルな雰囲気に仕上げてみました。

 ここから先は、実際の空間をご自分の体で感じてみてください。



 
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 今週の29日(金・祝)にオープンハウスを開催します。

 詳細については幣所HPの近況報告をご覧下さい。

 1日限りの体感を、是非お見逃しのないように!
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by mura-toku | 2011-04-27 16:44 | 建築

 先週末に、建主立会いの完了検査を行いました。

 この検査は、工事がほぼ完了した時点で、施工者と幣所を含めた3者が

 現場で気付いたことや、疑問に思っていることを遠慮なく出し合う目的で

 行われるものです。

 工事中は床や化粧部分 (最終的に見えてくる部分を化粧という) に養生

 がされているため、仕事の出来具合が確認できないのですが、この日は

 それが剥がされたことで隠れていた部分が一目瞭然となります。



 
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 窓の開閉や施錠についても、実際手に触れて試してもらいます。

 何の抵抗もなくスムーズに動くか、開けたときに障害物が近くにないか、

 施錠は誰でもうまく行えるか等々、ひとつの窓でも確認を怠りません。



 
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 大きい空間では、鳥の様な目で確認することも大切です。

 床・壁・天井の仕上がりは問題ないか、照明器具の位置や配光具合は

 バランスよくなっているかといった具合に、広角の視認が要求されます。

 また目だけでなく、床は足触りだったり、柱や木枠は手触りが、案外確かな

 情報を脳に伝えてくれるんですね。本当に、人間の体はよくできています。



 
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 以前住まわれていた時から大切に育てられてきた甘夏の木を眺めるための

 居間の大開口からは、自然光が差し込み・・・。

 赤松の床、天竜杉の柱・梁、ほたて漆喰の壁といった自然材料が間接光に

 照らされ、陰影のある落ち着いた空間へと導いていく。


 よろしかったら今週の29日(金・祝)に開催するオープンハウスで、確かめて

 みてください。(詳細については、幣所HPの近況報告を参照)
 

 
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by mura-toku | 2011-04-25 17:33 | 建築

 
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 木格子越しに民家の庭らしきものが見え、天井を見上げれば規則正しい角材と

 何やら板らしきものが張ってある?



 
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 下に目を移すと、黒い葉っぱが土に埋まっている?



 
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 こ、この得体の知れない〝天狗のような角〟は何だ?



 
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 ごつごつした木と赤く光った壁の正体は?



 
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 『浜松・憩庵』 のオープンハウスで、すべてをお見せします。

 ご興味のある方は、幣所HPの近況報告をご覧下さい!


 

 
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by mura-toku | 2011-04-22 18:49 | 建築

 皆さん、最近建てられてる一般住宅の室内建具 (部屋の入口や間仕切り戸、

 収納用の戸等) に、既製品が使われているのをご存知でしょうか?

 それらの多くが、建具 (通称、戸と呼んでいる) だけでなくそれを取り付ける

 枠とセットになっていて、あたかも木のような顔をしながら、実際は木目調の

 塩ビシートを貼り付けているツルピカの完成品として輝いています。

 これを容認されて選ばれているならよろしいのですが、逆にこれしか選択肢が

 ないと思われているとしたら、これは不幸以外の何者でもありません。



 
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 これは、建主がこれまで住まわれていた家で使われていた木製欄間です。

 あまりにも美しかったので、何とかこれを再利用できないかと思い、家を解体

 する前に大工棟梁にお願いして、丁寧に外してもらいました。

 新しい家の中に昔の記憶が残るのは、先祖代々から受け継がれてきている

 歴史そのものを刻んでいくことになるだろうと、考えたからです。

 これがどう料理されたのかは、実物をご覧になられた方が分かりやすいでしょう。



 
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 幣所では時間の許す限り、製作してもらう建具店へ出向いて、建具の打合せ

 を行っています。つまり、既製品の室内建具は1本も使用しません。

 理由は幾つかありますが、一番の問題は既製品は室内に溶け込みません。

 むしろ主張することが多く、質感・寸法とも幣所の設計には合わないからです。

 建具は毎日使い、人の手が触れるところですから、長い時間に耐えうる使い

 勝手のいい金物を、選定したいものだと思いませんか?

 写真手前の白い袋の中には、幣所から支給している金物が入っています。



 
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 以前購入していた、東京の金物店内を写したものです。

 事情があって1昨年前に閉店してしまいました。

 ここでしか手に入らない貴重な品や、お気に入りのものが数多く有ったので、

 閉店前に幣所で必用なものだけを取り揃えることにしました。



 
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 今回使用する金物のひとつをご紹介します。

 地金は真鍮、仕上げはウルミ漆、横長のプロポーションの珍品です。

 この仕上げが出来る職人は既に他界しているので、現代では再現が難しいと

 店の主人から聞いたことがあります。

 大事なことはデザインではなく、飽きがこなくて手触りがよく、使いこなすほどに

 愛着が湧くものではないかと思うのですが・・・。



 『浜松・憩庵』 は、4月29日(金・祝)にオープンハウスを開催します。

 詳細については、幣所HPをご覧下さい!
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by mura-toku | 2011-04-20 17:33 | 建築

 前回に引き続き、『浜松・憩庵』 の内壁左官についてお話ししたいと思います。

 左官職人による塗り壁の仕上げは、使う材料と鏝さばきによって多種多様です。

 材料は既調合 (あらかじめ工場で調合されているもので、そのまま現場で再度

 練り上げて塗るものと、水を加えてから練り上げて塗るものがあります) と現場

 調合 (石灰、土、砂、藁すさ、色粉等を現場で調合し、水を加えて練り上げから

 塗るもの) に大別されますが、現在はこれをミックスしたケースも出てきました。



 
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 これは左官を仕上げる前の下地の状態ですが、穴が所々開いている石膏ボード

 (左官材の密着をよくするために穴が開けてある、通称ラスボードと言われる材)

 の面が左官仕上げになる部分です。

 

 
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 左官が仕上がった状態です。

 下地のときに比べて壁を塗ることで、塗り壁以外の材料が引き立ってきました。

 赤松の床柱 (赤い皮付きの丸柱) や杉の落し掛け (丸柱上の白い材) が、塗り

 壁との対比により存在感を増してきているのがよく分かります。



 
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 自然光の入り方によっては、このように塗り壁の表情を浮かび上がらせることが

 出来るのですね。平滑に仕上げない塗り壁の魅力は、まさにここにあります。

 ちなみにこの壁は、既調合の聚楽壁に藁すさを現場調合して塗り上げました。



 
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 WCの壁は、オーソドックスな天然漆喰の押さえ仕上げにしてみました。

 簡単そうに見えて実は難易度が高い仕上げ、それはこの壁です。

 なぜなら、この仕上げた壁にサイドから光を当てようものなら、一目瞭然。

 職人の力量が瞬時に分かってしまうほど、平滑にしかも均一に仕上げなければ

 ならない難しさがあるからでしょう。



 今週末で、家全体の仕上げがほぼ完了予定の 『浜松・憩庵』 。

 来週の29日(金・祝)にはオープンハウスを開催しますので、よろしかったら

 ご参加下さい。詳細については幣所HPの近況報告にUPしています。 

 

 
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by mura-toku | 2011-04-19 10:47 | 建築

 内部の左官工事が順調に進んでいる 『浜松・憩庵』 。

 これまで石膏ボードの下地面だったところが一気に塗りあがると、ほぼ完成に

 近づいて見えるので、建主にとっては喜びの瞬間といったところでしょうか。



 
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 1階の居間の壁に埋め込まれた2枚のタイルが、ぐっと引き立って見えます。

 いつも住まい手によって自分色に染まっていって欲しいと思っているので、

 できるだけ壁は主張しないように仕上げるよう心掛けています。



 
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 塗り壁の仕上げ方は自由自在ですが、一番のお気に入りは表面が少しざらついた

 梨地調のなでもの仕上げです。

 この塗り壁材は、北海道産の帆立貝を粉砕したものを天然の漆喰にブレンドした

 〝ほたて漆喰壁〟というものですが、この壁の特徴は光線の当たり方によって

 キラキラする輝きが見られます。

 聚楽塗りや珪藻土塗りのような沈んだ表情とは違い、部屋を明るくさせてくれるのが

 広く感じる要因にもなるので、とてもいいですね。



 
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 2階の居間は壁と天井を同じ左官仕上げとし、その境目の存在感を消すような工夫を

 してみました。

 写真では分かりにくいかもしれませんが、とても柔らかい感じに仕上げっています。

 同じ材料を使っても、職人の鏝さばきひとつで表情は全く異って見えるのが、左官の

 奥の深さでしょうか。

 是非この目で味わってみたいという方は、29日(金)のオープンハウスにご参加を!

 

 
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by mura-toku | 2011-04-12 18:56 | 建築

 大工工事が一段落し、内部仕上げの仕事が順調に行われています。

 中でも仕事のピークを迎えているのが、左官工事!

 下地処理は既に完了しているので、いよいよ最後の上塗りに入っています。


 
 
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 まずは、ハンドミキサーで塗り壁材料をよ~く練っていきます。

 この練り方が不十分だと、骨材 (塗り壁材に含まれる複数の材料) が偏ってしまい

 仕上がりの表情が美しくならないので、慎重かつ早急にやらなければなりません。



 
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 昔の家と違い、今は大壁 (柱や梁を見せずに大きな壁を造っていく) や天井面も

 左官職人による塗り壁で仕上げることが多くなってきました。

 エンドレスで塗る面積が大きくなればなるほど、職人は息が抜けずに大変です。

 この部屋は12帖の天井面を左官仕事で仕上げていますが、平滑に同じ調子で

 見せていくのは並大抵のことではありません。



 
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 壁のチリ際 (柱や梁等の木部と接する端部) は、仕上がりが目立つところです。

 息を止めながら慎重に鏝を滑らせていく姿は、職人の技を垣間見ることができます。



 
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 塗る部位によっては、こんな形状の鏝も使いながら仕上げていくんですね。

 いい仕事の陰にはいい道具が必要不可欠ということを、思い知らされます。



 
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 建主のご好意により、オープンハウスを開催することになりました!

 日時は、4月29日(祝日)の10時~16時を予定しています。

 詳細については、今しばらくお待ち下さい。





 

 
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by mura-toku | 2011-04-07 17:05 | 建築

 「浜松・趣楽の家(幣所HP/作品集Ⅰ)」 をM棟梁と水道業者のS氏に同行して

 もらい、訪問しました。

 新しく建て直した家に住み始めてから、早いものですでに5年が経過。

 突然住まい手から 「予想していなかったことがことが起きているので、相談に

 乗ってもらいたいんですが・・・。」 との連絡を受け、その解決案を持参しての

 打ち合わせのため、関係者一同訪問したのでした。


 話の内容は、「灯油ボイラーから燃焼された空気が隣家の窓に入ってしまう

 ので、何か方法はないでしょうか?」 とのことだったので、設備工事による案と

 建築工事による案の2つを提示。結果は、両案を複合する方向で解決しました。

 それにしても、この家はお隣との距離を十分確保しているのに、思わぬことが

 実際は起こるものなのですね。



 
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 こだわって仕上げた赤漆喰の曲面左官壁は、大好きな花が飾られ・・・



 
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 リビングの一画には、ご主人自慢のオーディオがセットされ・・・



 
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 同じくりビングには、観葉植物を鑑賞するためのタイル床のスペースが有効に

 活用されていました。

 素材のひとつひとつを吟味しながら仕上げた空間には、時の流れを感じさせ

 ない強いパワーを感じることができます。
 
 自分色に染まっていく家の姿を目の当たりにして、設計者としてはこの上ない

 喜びをかみ締めた一日となりました。




 

 
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by mura-toku | 2011-04-06 09:42 | 建築

 先週末に建主立会いの下、現場で大工検査が行われました。

 この検査はその名の通り、大工仕事について不良な点や疑問な点がないかを

 3者 (建主・施工者・幣所) で見て回りながら、意見を交換していくというもの。

 これまで手掛けた殆んどの物件において、大工仕事のやり直しになるケースは

 まずありません。それはここに至るまで建主立会いによる現場打合せを相当数

 重ねてきていますので、万が一あったとしても事前にその問題はすでに解決して

 いるというのが、その理由です。



 
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 例えば、こうした物干し金物をどの高さで取り付けたらいいのかを、建主立会い

 で実際に決めていくのも、このタイミングで行います。

 おそらく洗濯物を干すのは奥様の仕事だと思われますが、このバルコニーは

 ご主人も通るため、互いに邪魔にならない高さを実物を当てながら決定していく

 わけです。物干しバーは微妙に角度が変わるので、その点も注意ですね。



 
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 左官の親方が海外視察に行かれた時に購入してきたタイルを、現場で位置決め

 してみました。(写真正面壁に貼り付いている小さな2枚のタイル)

 こうしたちょっとした細かいことも、仕上げ工事に入る前に決めておかなければ

 ならない、大事なポイントなんです。



 
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 幣所オリジナルの、手摺を持たなくても楽に昇降が出来る階段。

 実際90歳を過ぎたご高齢の方も、足腰に不安がある方も、難なく利用されていました。



 
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 外部足場が外れた全景です。

 交通量が激しい交差点に位置しているため、この角度からの姿が一番良く見えます。

 これから外部設備や外構の仕事が行われ、今月末には竣工の運びとなるでしょう。



 最後にお知らせですが、建主のご好意により4月29日(金、祝日)にオープンハウス 

 を開催させていただくことになりました。

 詳細については、近日中にブログ&幣所HPでUPしますのでお待ち下さい。

 
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by mura-toku | 2011-04-04 10:25 | 建築

 工事が終盤に入ってきた 『浜松・憩庵』 。

 大工工事も、あともう一息といったところでしょうか。

 いままで図面を通して予想してきたものが、実際出来上がってきたものを

 目にした時、ようやく建主は空間というものを把握できる喜びが湧いてくる

 ものだと、よく耳にします。

 予想通りのところもあれば、思いもよらないところもあったりするのが、

 実は現場の面白いところなんですね。

 このタイミングで、建主を交えながらの仕上げ選定を現場で行っていきます。



 
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 小さい見本帳だけでは分かりにくいので、事前にリストアップしたものを手に

 取ってもらいながら、大きい見本で互いに確認していきます。

 全体のバランスを考えて適切なアドバイスをしていくのが、幣所の役割です。


 
 
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 これはごく一部のサンプルですが、実際現場を見ながら選定していく作業は

 なかなか楽しいものです。

 これから一気に仕上げ工事に入っていきますが、見違えるほど別次元の世界に

 入っていくのは、何度経験しても感動ものです。

 唯一無二の建築の醍醐味は、まさしくこういうことなのでしょう! 

 
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by mura-toku | 2011-04-01 17:46 | 建築