静岡県浜松市にある村松篤設計事務所の所長のブログです


by mura-toku
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<   2011年 01月 ( 5 )   > この月の画像一覧


 体が凍みるような冬晴れの日、浜松市の北部に位置する天竜区の製材所へ行ってきました。

 目的は、基礎工事進行中の 「島田・茶庵」 の材木仕分けをするためです。

 設計者として図面に指定した木材 (主要な構造材に使用する土台・柱・桁・梁材) が、そのまま

 工務店にお任せ (すなわち製材所や材木店の判断で木材が選定・搬入される) するのはあまり

 にも無責任ではないかと思い、棟梁と製材所・材木店と一緒に1日がかりで仕分けをすることを

 全ての物件について実行しています。



 
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 地元天竜材の丸太が、製材所を埋め尽くすように積まれています。

 このあと木の皮が剥かれ、使用する材の寸法に合わせて板状に引き割った後、乾燥された材が

 はじめて製品になっていくわけです。



 
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 今回使用する予定の梁材の中で、同じ寸法のものを横に並べていきます。



 
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 構造材に使用する木材はかなりの量がありますが、中でも部屋の中に見えてくる木材 (専門

 用語で化粧材と呼んでいます) には、特に気を配らなくてはなりません。

 木も人間同様、同じ顔を持つものはありませんから、1本1本状態を見ながら決めていきます。

 節の具合はどうか、腐りはないか、反りや狂いはどうか、割れは入っていないか、水分量は、

 材の強度はといったように、判断基準は山のようにあり、それぞれの立場の人間が頭をフル

 回転して、この部屋にはこの材がベストだろうと選定していく作業を繰り返していくわけです。



 
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 こうして1本の梁材が、ようやく決まりました。

 木の上に芯と印されているのが柱の位置、継手の印はその位置で同じ梁材が横に継がれ、

 る-7とは図面上の交点 (横軸がいろはにほ・・・縦軸が12345・・・で通りを決めています)

 を示しています。

 ここまでシビアに決める理由は、材端部の割れを避けたり、材が見えてくる部分に極力節を

 少なく見せたり、木目の流れ方や表情を吟味したりといったことに拘っているからです。

 

 
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 こうして何十本と見ていくうちに、このような材が見つかることもこの仕事の醍醐味といえるでしょう。

 いずれにしても、ちょっとした気配り (材配り) が家の品格を決めていく要因のひとつになる
 
 ということを、作り手の皆さんは忘れないでいただきたいと思っています。

 長くなりましたので、この続きは次回でご紹介いたしましょう!




 

 
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by mura-toku | 2011-01-28 16:45 | 建築

 家を建てるときに、最も慎重に検討しなければならないことがあります。

 それは、家の本体を支える基礎構造 (一般的にはコンクリート基礎と呼ばれる部分) です。

 事前に地盤調査 (実際に家を建てる場所の直下を調査し、地盤強度や地質・地下水位等を調べる)

 を行い、その結果に基づいて適切な工法を選択していきます。


 
 
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 農地を埋め立てた地盤でしたが、想定よりも強度が高かったため、ベタ基礎工法を採用しました。

 一部、浴室の壁だけ腐朽対策のため基礎の高さを高くしています。

 それはユニットバス (工場で製造されたパネル組み立て式の浴室) を据え付けるのではなく、

 現場で職人が造っていく (床はスノコ、水が掛かる高さまではタイル貼り、その上は耐久性の

 高い無垢の板を張って仕上げます) ので、断熱性を高めるために断熱材を型枠に貼り付けて

 います。

 右億の白く見える部分がそれで、出来上がりはコンクリートと一体になり、浴室が冷えません。



 
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 もうひとつ大切なことは、このベタ基礎のコンクリートを1回で打設しています。

 通常は床と立ち上がりとで2回に分けて生コンが流し込まれますが、これだとコンクリート自体が

 一体でないことで安定した強度が確保しにくかったり、打ち継ぎ部にクラック (小さいひび割れ)

 が入り、そこから蟻や虫等の生物が侵入する恐れがあることが分かっています。

 今回は、鋼製型枠用の一体打設専用金具を用いて、もちろん1回打ちにしています。



 
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 先日の地鎮祭の際に預かった鎮め物は、家の中央に大事に埋め込まれています。

 これからの工事が無事に進捗しますように、手を合わせる瞬間です!
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by mura-toku | 2011-01-26 10:30 | 建築

 全国的に大寒波が襲っている今年の冬は、身が凍るほどの寒い日が続いています。

 そんな中、滋賀県の大津へ行ってきました。

 Bio森の家 「大津・洒落庵」 の完成をこの目で確認することが目的です。

 新幹線からJR線、さらに2両編成の私鉄に乗り換え、無人駅で下車。

 そこから歩くこと約3分で、いよいよ目的地に到着です。

 

 
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 道路に面した門扉を開けると、凛とした姿の入口が見えています。

 外気温は3度。手足の感覚は麻痺しているのですが、暫くその場を離れられません。

 簡素でありながら野暮でない、自然と頭が垂れる玄関。

 思い描いていた通りのものが、そこにはありました。



 
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 極寒にも関わらず、この家を見るために数組の来場者が既に来られています。

 
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 この家のお気に入りのひとつが、1階の畳の間。小間には地窓がよく似合う。



 
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 どこにいても家族の気配を感じながら住まうことが出来、

 あたたかく包み込まれる心地いい場が沢山あり、

 永く居れば居るほど愛着がわくような家。

 実質価値の高いBio森の家が、大津の地に誕生しました。

 

 


 
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by mura-toku | 2011-01-18 18:50 | 建築

 大津・洒落庵見学会!


 琵琶湖の湖南に位置する滋賀県大津市。

 このまちで、手づくり感を大切にした仕事をされている山手工房さん主催の見学会が

 今週の土・日に開催されます。


 
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 この家は、昨年竣工した 「名古屋・曽根の家」 に続くBio森の家スタンダードハウスで、

 日本の情緒を再考しつつリーズナブルな価格帯の家を実現しました。


 
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 無駄な装飾を排除した簡素な設えの玄関は、落ち着きを生んでいます。


 
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 現代の住宅に忘れ去られようとしている軒内空間。

 内でもなく外でもない中間領域の醍醐味を、実際に感じてみてはいかがでしょうか。


 ≪洒落庵 完成見学会≫ 日 時   1月15日(土)・16日(日)
                         午前10時 ~ 午後4時
                  T E L    077-510-1835
                  メール    info@yamatekobou.com
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by mura-toku | 2011-01-12 09:54 | 建築

 私の原点!


 2011年、あけましておめでとうございます!

 本日1月6日が仕事始めとなりますが、今年もよろしくご愛読下さい。

 新年1本目のブログは何にしようかと、正直迷いました。

 皆さんは今年の抱負とか、仕事に対する意気込みとかを述べられているようですが、

 私は恥ずかいことを承知のうえで 『私の原点』 をお話したいと思います。

 以下は、昨年のJIA(社)日本建築家協会東海支部の機関誌に掲載したものです。

 大変つまらなくかつ拙い文章ですが、よろしかったらご一読下さい。


 私の原点

 学生の時、自由設計の課題に『ホテル』を選択した。
 何から手をつけていいのか分からない私は、担当の先生から全体のゾーニングの
 考え方や諸室のバランス・ボリューム等について、細かな指導を受けた。
 忘れないうちに設計に取りかかるものの、思うようにまとまらない。
 私自身が未熟であることが最大の理由であるのだが、もがいているうちにあるひとつの
 ことを理解していないことに気づいた。それは、客室であった。

 本来、最も重要視するべき客室をないがしろにしていたのである。
 適切な部屋の大きさ、天井の高さ、窓の位置、家具の配置、照明計画等々考えなければ
 ならないことは山ほどある。
 すぐさま書店へと足を運び、慣れない専門書籍を開いてみるものの、これだというものが
 中々見つからない。
 諦めかけていたその時、1冊の本に目が留まった。
 今でも書棚の片隅に置いてある『新建築詳細図集―ホテル編』(新建築社刊)である。

 沢山の実例が紹介されているなかで、何となく気持ちよさそうに思える客室が見つかった。
 決して広いスペースではないが、寸法に無駄が無く、機能的にとてもよくまとまっていた。
 客室の写真もその雰囲気をよく伝えていた。
 ベッドルームなのに障子や襖が設けられているのも、私には新鮮に映ったのかもしれない。
 いつの日か、こんな素敵なホテルに宿泊できたらいいなとも思った。

 設計者の名前は、恥ずかしながら後に知ることになる。建築家・吉村順三氏。
 私が社会に出てから最初に夢中になり、今でも敬愛する建築家のひとりである。
 大好きな吉村さんと学生のときに触れ合っていたとは、偶然にしては鳥肌が立つほどの
 衝撃を覚えた。古都を訪れるたびに、こうした私の原点を思い出す。


 
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 昨年の秋、久しぶりに鴨川沿いを歩きました。今でも変わらぬ姿がそこにはありました。


 
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 またゆっくりと泊まりながら、思い出に耽ってみたいと思います。
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by mura-toku | 2011-01-06 11:53 | 建築