静岡県浜松市にある村松篤設計事務所の所長のブログです


by mura-toku
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<   2010年 06月 ( 5 )   > この月の画像一覧

東山旧岸邸!


 前回ご紹介した、JIAの建築ウォッチングで次に訪れたのは、建築家吉田五十八設計による

 岸信介邸 (現在は旧岸邸となっている)。

 第56・57代の内閣総理大臣を務めた岸氏の自邸です。

 御殿場市東山の広大な敷地に建てられたこの邸宅は、1969年(昭和44年)に竣工していて

 最近は一般公開されているとのこと。

 まさに邸宅という名に相応しい、前庭と車の寄付きを備えたアプローチをご覧下さい。


 
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 170坪を超える延床面積なのですが、訪問者に対して決して威圧感を与えない屋根の掛け方

 は、見事の一言に尽きます。

 家全体がきりっとした緊張感に包まれているのは、この仕事に相当なエネルギーを投入したで

 あろう設計者と施工者の苦心の跡といってもいいでしょう。

 
 
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 まるで巨大な日本画がそこにあるかのように錯覚してしまう、ダイニングルームの開口部。

 日本建築の特徴のひとつである、室の内と外を融合させてしまう典型例です。

 思わず外の庭へ足を運んでしまう私たちを見て、吉田氏はきっとほくそ笑んでいるのでしょうね。

 
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by mura-toku | 2010-06-25 17:51 | 建築

とらや工房!


 梅雨入り直前の先週末に、御殿場にある〝とらや工房〟を見てきました。

 設計者は、 『素形』 を追求されている内藤廣さんです。

 今春から入会した、社団法人日本建築家協会(通称JIA)東海支部静岡地域会で企画された

 建築ウォッチングという見学会に参加し、多くの仲間と建築談義に浸りました。

 今年度で早くも2回目の企画は、どの建築も見ごたえがあり、久しぶりに建築の充電ができた

 ように思います。



 
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 場所は東名高速の御殿場ICから車で5分、東山の森に囲まれる自然豊かな環境にあります。

 門をくぐり、林の中をくねくねと歩いていくと、少し開けたところに建物が見えてきます。

 曲がったアプローチがそのままエントランスへと続き、気が付いたらいつの間にか店の中にいる

 という心憎い演出です。


 
 
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 店に入った正面は全面開放で、裏庭の景色が目に飛び込んできます。

 店内の落ち着いた暗さと、外界の開放的な明るさの対比は絶妙で、私の好きな空間でした。

 今月のお菓子のひとつであるごま団子と煎茶は、心身ともに癒しを与えてくれていました。


 日常のことから離れ、「今日は思う存分建築を楽しむぞ」 と心に決めていた私。

 うきうき気分を察したのか、隣にいた会長のT氏から 『村松さん、今回の原稿をよろしくね!』

 と依頼され、思わず絶句!!(そ、そんな~、それだけは勘弁してほしいな)

 こちらの願いは届かず、これは新入会員の役目とのこと。(とほほ、現実は厳しい)

 お気楽モードから真剣モードに切り替わった瞬間なのでした。

 
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by mura-toku | 2010-06-14 17:22 | 建築

お気に入りのコーナー!


 私の場合、職業柄どうしてもデスクワークが大半を占める。

 自分専用の椅子に、朝から晩まで10時間以上座りっぱなしという日も珍しくない。

 ひとくちに仕事いっても、図面を描くだけではなく、積算をする、書類を作る、原稿を書く、

 ブログに投稿するなど様々だ。

 人間誰しも得て不得手があるわけで、私はパソコンを使って長時間仕事をすることに、

 とても苦痛を感じてしまうタイプなので、こうした日は朝からブルーな気分になる。

 それとは逆に、一から創造していく例えばプランニングをするときは、少し心が躍るようだ。


 お気に入りのCDを聴きながら、自由気ままに鉛筆を滑らせていく。

 とくに当てがあるわけではないのに描いた線を重ねてみると、一筋の光が見えることがある。

 1本の線が次の線へつながり、それがまた上へ下へと伸びていった時、ようやくひとつの

 仮の姿が目の前に現れる。

 やがて気分も高揚し、半分鼻歌混じりになってくればゴールは間近だ。

 
 
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 私にとって創造を膨らませてくれるもののひとつに、音楽があるのは間違いない。

 人によっては、それがペンシルであったり、紙であったり、机であったりすることがあるだろう。

 千差万別であることは当然なのだが、設計者としては吸い寄せられてしまうような静かな

 空間をつくりたいと思う。

 それは、ちゃんとした部屋である必要はない。

 気がついたら、いつの間にか腰を下ろして豊かな気持ちになれる場所。

 案外、コーナーであるほうが毎日足を運び、そこに家族の歴史を刻んでくれるのでは・・・。
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by mura-toku | 2010-06-08 16:40 | 建築

大切な場所!


 今でも時々思い出すことがある。

 幼少の頃、両親に連れられてよく行った、父の実家だ。

 100年以上前に建てられた古い民家だが、茅葺屋根がとても印象的だった。

 大地に根付いているように見えるその構えは、子供心に安心感を覚えた。

 深い軒が影をつくり、訪れる人をやさしく迎え入れる。

 入口の大きな板戸を開けると家の奥まで広い土間が続いていて、天井が高い。

 夏の間はどの部屋も建具を開放するため、自然の風が吹き抜けていく。

 夜も窓は全開で、蚊帳を吊って寝る生活はとても快適だった。


 
 だが、今の時代はどうか?

 家の防犯にはじまり、性能を確保した魔法瓶のようなつくり、地震に強い工法、

 効率だけを重視した安価な家、屋根の上には太陽光発電等々、挙げればきりはない。

 決してこれらを批判するわけではないが、こういうことだけにシフトさえすれば、

 いい家になるのだろうか?



 
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 私はそうは思わない。

 昔の記憶にあるような、自然の光と風を意識した住まい。

 外界と遮断するのではなく、呼応しながら快適性を追及する住まい。

 空間に流れがあり、どこにいても心地良さが実感できる住まい。

 決して昔に戻ろうということではない。

 現代の技術を駆使しながら、少しでもこうしたことが実現できればと日々格闘している。

 
 
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by mura-toku | 2010-06-04 16:20 | 建築

デッキの効用!


 家を建てたいと思った時、皆さんは何を要望されますか?

 大人と子供、男と女でそれぞれ違うのは当然ですが、私の事務所に訪ねて来られる方の

 人気No.1は、なんと木のデッキなんです。

 木のデッキといっても、昔の日本家屋にあるような濡縁ではなく、何かその場で寛いだり、

 工作をしたり、日常の家事をされたりするための、広いスペースを希望されますね。


 
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 この場合、私なりに気遣いをしているのが、屋根の大きさ (専門的には軒の出といいます)

 でしょうか。木のデッキを屋根でどこまで覆うか、反対にどこを晒すかは、この屋根との

 バランスにかかっています。当然ながら天井の高さはいくつにするか、室内へ続く窓との

 関係はどう考えるかといったことも、並行して検討していくことになるわけです。


 もう少し掘り下げてみると、日本のように高温多湿の気候風土には、家の内と外とを繋ぐ

 軒下空間 (屋内的屋外空間とでも言いましょうか) が必要不可欠だと思うのです。

 これは木のデッキに限らず、玄関前の庇であったり、2階バルコニー上の屋根であったり

 1歩外へ出た場の設えは、すべて同じように考えるべきなのではないでしょうか?

 時代が変化していく中で、時間や気持ちにゆとりが取れるときこそ、日常の生活を見つめ

 なおすいい機会だと思うのですが・・・。


 
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 ここにも、何を思い耽っているのか?

 住人ではないM氏が、すっかり寛いでいるようです。




 

 
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by mura-toku | 2010-06-01 12:02 | 建築