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静岡県浜松市にある村松篤設計事務所の所長のブログです


by mura-toku
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浮遊間 小噺し

「この家、思っていたよりも中が広いわね。」
「外観は小さく見えるのに、室内はとても大きく感じるなあ。」
「表の通りからと裏の空き地からとでは、まったく違う表情の家に見えるよ。」
これらは、昨年の晩秋に開かれたオープンハウスの来場者からの感想である。
そのどれもが的確にこの家の特徴を捉えていて、設計者としては少々気恥ずかしい思いに駆られたが、反面嬉しい手応えを感じずにはいられなかった。

住まいはそこに住む家族のためであるとともに、社会的資産のひとつでもある。
故に、私はできる限りつつましい表情で、威圧感を与えないほうが望ましいのではないかと思っている。まちに対しては、常に敬意を払った小さな顔でありたいと。

浮遊感は、交通量の多い表通りに対して遮音面やプライバシーを配慮した閉じた外観となっているが、少しでも柔らかい印象となるようカーブを描いた壁とガラスブロックを多用することで、優しいデザインを心掛けた。
正面の玄関エリアとその上のエリア(普段余り使用しない和室がある)が遮音目的のバッファーゾーンとなることで、主要な室内空間は表の喧騒を感じさせないくらいとても静かな環境がつくられている。
そのことで、この部屋が面した裏の空き地側(南面)には季節を感じさせる樹木を植え、自然を身近に感じられるデザインとなるよう配慮している。
この表と裏の言うなればギャップが、室内空間をより広く見せる要因のひとつになっているのだろうか。

浮遊間 小噺し_b0111173_632797.jpg











浜松・浮遊間の表側の表情を見る。
閉じたデザインでありながら、柔らかい印象となるよう配慮した。

浮遊間 小噺し_b0111173_6331659.jpg











浜松・浮遊間の裏側の表情を見る。
庭に対して開いたデザインは、まちに向かっての顔になる。

浮遊間 小噺し_b0111173_634482.jpg











1階の寝室から南側の庭を見る。
落ち着いたインテリアでまとめられた部屋には、静かな空気が漂う。
by mura-toku | 2008-07-09 06:43 | 建築