静岡県浜松市にある村松篤設計事務所の所長のブログです


by mura-toku
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それぞれの居場所?


 私が幼少の頃、家を建てるときは決まって、主が近所の大工に頼みに行っていたものでした。

 間取りは親父が自分で考え、それを大工に渡すと、「それじゃ、一丁やってみるか!」 といい

 ながら、自ら計算した坪数におおよその単価 (坪〇〇万円) を掛けて、「〇〇〇万円掛かるが

 ええかな?」 という問いかけに、親父は 「ううん・・・。わかった、それで頼みますわ」 というやり

 とりの後、契約成立となるわけですが・・・。


 
 私が住んでいる地域は冠婚葬祭を重視しているため、和室の通し間 ( 8畳+8畳、あるいは

 8畳+6畳 ) は必要不可欠だと思われていました。これに応接間と呼ばれる洋室 ( ソファが

 対面に置かれ、飾り暖炉の上には金色の置時計、天井からはシャンデリア風の照明器具 )

 が人気で、ほとんどの新居には設けられていたように思います。


 
 親父が決めたことには逆らえませんでしたので、こうした家が数多く建てられていきました。

 親父の自慢の家 (間取りは自分が考えたわけですから) に住んでみて初めて分かるのが、

 家族にとっての住み心地の悪いこと。何しろお客さん重視の家ですから、普段居るところは

 日当たりや風通しが悪く、夜になったら卓袱台を上げてそこに家族全員の布団を敷かなけ

 ればならなかったのです。


 
 時代も移り変わり、いつの頃からか親父の尊厳は失われていったように思います。

 男尊女卑から男女平等へと叫ばれ、今は草食系男子とか肉食系女子と言われるまでに、

 世の中は変化しています。こと住宅業界に至っては、私が記憶するところバブルが弾けて

 主人の立場が弱くなってからというもの、家を守る奥様の意見をこれまで以上に重要視=

 女尊男卑?のケースが増えてきたのではないでしょうか。



 私は、決してこうした変化を避難するわけではありません。むしろ、家そのものを家族が

 楽しむ場であるという視点で考え直してみることは、大切だし大歓迎です。

 家が新しくなれば、キッチンも食卓も家電品も綺麗に揃えたい気持ちは分かります。

 子供の将来を考えて、収納を充実させ、日当たりのいい部屋を用意するのもいいでしょう。

 ただその前に、それぞれの居場所を用意してもらいたいと思うのです。



 各人にとって居心地のいい場とは、何なのか?

 孤独を好む人、狭い場所が好きな人、家族の声が聞こえていたい人、皆それぞれです。

 それは陣地の取り合いではなく、共有する方法もあるはずです。

 一度、家族で話し合ってみたらいかがでしょうか?


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by mura-toku | 2010-05-13 11:03 | 建築